喜多方へ4泊5日。ゼミ合宿。
ここ4年程、「会津・漆の芸術祭」への参加をきっかけに喜多方へ通い続けている。
「農閑工芸の研究」のフィールドワークや発表の場としても喜多方は魅力的な場所である。
今回は院生の工人・福島さん。研究生の陳さん。4年生の清水&馬渡さん。そして3年生の武田&渡辺さん。前半の2泊は、ゼミの修了生で研究員をしているラリアンドハルも同行。
今回は、前回のプレイミールに続き喜多方の食を器から考えるゼミ。
プレイミールについてはこちら。
8月26日。
根曲がり竹を材料とした籠作りの実習。
昨年は4年生と行ったおぐにの里。今回の訪問で3回目。4年生だったトリ・イケ・モッチ元気かい?そういえばアイちゃんはインドネシアへの留学から戻ってきました。僕らは今年もこんな事して楽しんでます。
おぐにの里は、喜多方市を一望できる素敵な場所。木造の小学校だった建物を利用している。
そんなおぐにの里で待つ、雄国竹細工保存会の先生方に会うべくつくばから直行。
今年も5人の先生方がどっかと座っており、丁寧すぎる指導を受ける。一番若い先生は74才。一番大人な先生は去年90才だったので今年は91才になられたか、でも一年ぶりに会った感じでは若返って見えるので87才ぐらいかもしれない。そんな奇跡が起こってもおかしくない場所。
さすがに3回目となると、少し編み方を覚えている。今回は持ち手のついた、少し深めの籠を製作。
以前お世話になった際のブログはこちら。
皆、自分の籠が完成し喜ぶ。これは本当にうれしい、昨年の喜びを伝えるべく今年も学生を連れて来た。
籠を作る事ができた喜びを抱えて次の場所へ。
窓から手を振る先生方に見送られ、宿へと向かう。
木造の校舎から手を振る先生方は、楽しげで一瞬小学生に見えた。まるで映画のシーンのよう。失礼な話であるが、大先生方は竹細工が好きな子供達に見える瞬間がある。
昨年同僚の原先生に紹介して、原先生のお友達のスティーブ先生率いるサンフランシスコ州立大学の大学院生も雄国竹の指導を受けた。
喜多方滞在の最終日、一年ぶりに喜多方へやって来たスティーブに先生方の写真を見せると「オーディスガイ!ワオディスガイ!ディスガイ!」と先生方を思い出し、笑顔になった。74〜91才の大先生は存在そのものがグローバル。
蔵の湯でさっぱりして夕食。
夕食は、けいこの餃子。喜多方ではだいたい16時頃になるとラーメン屋さんはスープが切れて店仕舞い。朝は7時頃からと早い。ここは夜まで営業してるので良く行くお店。
明けて27日。
食に関わる器のお勉強。
ゼミ修了生の柵瀬茉莉子さんが、大変お世話になった漆器製作の佐藤達夫さんと長沢邦夫さんを先生に向かえ汁碗を塗る。初めて漆を体験する学生もいるが、贅沢にも日本産の素黒目を塗る。大学には無い回転風呂で器が乾くのを待つ。
古い折敷にそれぞれがデザインした消粉蒔絵も行う。
緊張する作業を終え、佐藤達夫さんの工房とギャラリーを見学。こちら。
佐藤さんは蒔絵師であるが、木材の買い付けから切り出し、轆轤、塗りとすべての工程を行う。このことは本当に珍しい、貴重な存在の技術者である。
最近はチップ工場から木材を買い付けるとのこと。チップ工場から貴重な木材を買い付けると言う話は初めて聞いた。ケヤキ、トチ、クリ、サクラ、ナラ、タモ、セン、ホウ等々。
例えるなら残飯処理場から新鮮な寿司ネタを仕入れるといった感じか。
山から切り出された樹は、まとめてチップ工場に運ばれる。その中から漆器の木地になる木を買い付け、渡部木材さんで製材してもらう。渡部木材さんはこちらで紹介した。
さすがにこれだけ喜多方に来ているとブログの記事も多い。自分でもびっくり。
漆を塗る技術の難しさと楽しさを実感してこの日の勉強は終了。
坂下温泉 糸桜里の湯でさっぱりして、田舎屋さんへ。
昨年のPLAY MEALの後の「器の蔵」のイベントでお世話になった。
田舎屋さんの郷土料理は本当においしい。そして今回もやっぱりうまかった。
贅沢な時間を過ごす。
そして28日。
山都地区へ。
ひぐらし農園の浅見彰宏さんにご案内いただき養鶏場の見学。生まれてから数秒の卵が暖かい。学生は鶏と戯れる。
ご自身が間伐材を山から引き下ろし建てられた3代目の養鶏場。
お話しから、雪深い山間の養鶏場で自然環境に合わせ建物を造る大切さが良くわかった。
浅見さんは執筆活動もされている。「僕が百姓になったわけ」はこちら。
鳥の次は馬。
自給自足を実践する長谷川浩さんのお宅へ。
皆で馬が大好きなクズの葉を皆で刈り取り、馬へプレゼント。むしゃむしゃ旨そうに食べる。
長谷川さんも執筆活動をされている。
お昼は茶房千さんでそば。うまい。
懇親会に備え、朝採りアスパラを購入。
そして午後は山。
人が生活のために使用してきた素材を見たいと、浅見さんにリクエストしていた。山に詳しい桃農家の阿部さんをご紹介いただき山へ。
浅見さんの農園で実習中の東京農工大の学生さんとも一緒に江戸時代に作られた水路沿いに山を散策。
工芸素材となる草木を教わりながら進む。
食べられる山芋や様々な木の実も教わるが、たくさん過ぎて名前を忘れてしまった。
織物や籠の材料となるカラムシ、マタタビ、ヒロロ。柔らかい枝でカンジキの材料となるリョウブなどなど。
自然のパッケージ素材、ササの葉・ホウの葉、わずかな散歩でたくさんの草木を知る。というか、知識で持っていた草木を初めて見て触る。楽しい。
このあたりついては、以前奥会津に行った時に書いたのでお時間ある方は読んでみて下さい。こちら。
飯豊の湯でさっぱりし、これまた懇親会用の刺身こんにゃくを購入。
喜多方の市内へ。
研究室で大変お世話になっている大和川酒造へ。1790年創業の老舗。社長さん、奥さんと久しぶりに会い近況を話す。
29日。
喜多方市内を散策。
朝、これまたいつもの平出竹屋さんへ。いつものようにお茶をいただき、いつものように楽しい話を聞く。喜多方に来たら必ず寄る場所。いつもお茶をいただくので、お茶菓子のお土産を持参。
そして、金忠さんのみそ蔵見学。7代目の井上篤さんにご案内いただく。
金忠さんはこちら。
喜多方の自然を背景とした醸造業について伺う。流行にとらわれずに味を守る。そんなお仕事をされている方が発する言葉は重い。けど、お洒落でイケメンな7代目。綾瀬はるかさんと一緒にポスターのモデルさん。
コーヒー、みそソフトを皆でごちそうになった。ありがとうございました。
そしてお茶屋の島慶さんでは、町作りについてのこれまでの取り組みを伺う。懇親会でふるまう、かき氷のための抹茶をいただいた。
懇親会は福島大学、上越教育大学、東北芸術工科大学。喜多方市が主催するアートプロジェクトに参加している研究室が集まった。
お世話になった方々を招待、県立博物館喜多方市美術館の学芸員さん等、40名ほどで行った。
料理と器、会場のセッティングは宮原ゼミで。
器を作る者にとって、料理を作ることや盛りつけることはとても大切。
作る側から考える器と、使う側から考える器は似ているようで違う、そして違うようで似ている。器は器を作らないと分からないように、器は料理を盛り、使ってみないと分からない。
飲み会や懇親会は貴重な実践の場になるので、宮原研究室は幹事を引き受ける。そして学生は自然と鍛えられる。みなさん本当にお疲れさまでした。
大勢のための料理の盛りつけなどは、このような機会でもなければ中々体験できない。大和川さんでは、このような機会をいただいているのでお皿やコップ、勝手も分かる。しかもここにある沢山の器はほとんど喜多方で作られた漆器。使い込まれた朱の手塩皿やそば猪口、平皿、深鉢。
懇親会はもちろん大盛り上がり。
30日。
つくばへ帰る日。
佐藤さんの所により、風呂の中から漆の器と折敷を取り出し久しぶりの対面。
大和川さんの片付けを行い、田舎屋さんに器を返し、会津若松へ。これまた以前よりお世話になる三浦木工さんで、木地挽き轆轤の見学。
そして、一路つくばへ。
翌週からは、種蒔きから脱穀、乾燥まで行ったほうき草をほうきに仕上げる。
この夏のメインイベント。
終わらない夏。
はきそうになるまでホウキを作ろう。