三日月湖の木の船
「喜多方を、食事会を、遊ぼう!」に向け喜多方で製材ワークショップを開催した。
研究室イベントはいよいよ本番を待つ。といっても待ってても何も起こらないので、11月10日に向けて料理、器、空間の作り込みが本格的に始まる。
ワークショップの前日、27日に講演会やイベント会場のリサーチを済ませて泊まった大川荘は、喜多方の町中から車で20分程山に入り、少し下った所にあった。
農家を営みながら、近くのひっそりとした三日月湖に貸し出し用のボートを浮かべている。
おいしい朝食をいただいてから散歩。
すぐ裏にクワの木が並んでいた。養蚕用に育てられていたクワの木が大きくなっている。横の斜面には漆の木が植えられてあった。漆を掻き取った跡の残る木も。そして畑には白い綿が顔を出し、畦道には拾ってきたクルミの実が集められていた。
さすが農閑工芸の本場。
細い砂利道を三日月湖まで下る。
深い森と林に囲まれた、静かな朝の湖面に鷺と鵜が飛ぶ。
今となっては珍しい釣用の木の船が20艘ほど岸に。
垢取りと呼ばれる、船に入った水を救い上げる道具も船に置かれ、船と同じスギで作られていた。
この垢取りは各地の博物館や資料館で見る事ができる。
簡素で面白い形が見られ、そのバリエーションも豊富。
沖縄では、刳物の美しい垢取りをたくさん見た。駒場の日本民藝館にも陳列されている事が多い。
木の船を見ていて、冬になったら船はどうするんだろう?ふと思った。
氷のはる湖面に浮かべておく事はなさそう。
普段水につかって安定している木の船を水の外に出したら、木は割れてしまう。としたら?
宿に戻って聞いたら春まで湖に沈めておくと言う答え。
春になったら湖から船を引き出す。
なるほど。
地元の船大工さんが廃業したので、木の船を作る人も修理する人もいなくなってしまったらしい。船大工さんの持つ技術や道具は特殊なものなので、今ある木の船が無くなってしまえば、木船が浮かぶ三日月湖はなくなる。
楽しい一晩を過ごした研究室一行は、製材ワークショップのため渡部木材さんへ向かった。
渡部さんは80才を過ぎてまだまだ現役。大きな木材をフォークリフトで動かし、機関車のような製材機を操る。
しかもお洒落。
コラムシフトのベンチシートのブルーグレーの木材配達用のダットサンに45年乗り続け、ボルサリーノの帽子を愛用する。戦前の三越の帽子ケースが事務所に座っていた。
製材ワークショップでは、製材から加工までの作業工程を身体で感じる事が目的。
素性の良い大きなキハダの木を製材してもらった。キハダ独特のパリパリした木の肌と静かな木目が現れた。
テンションが上がる。木が欲しくなる。我慢する。
4年生の福島さんは卒業研究のための木材を吟味して購入。
ホウの丸太を製材し、その木を使って制作したのは「器としてのカッティングボード」。
本番のイベントで活躍してくれる。
渡部さんから木材のことやお洒落のことを教り、いつもの平出竹店で梅干しとお茶をいただき、雨の中つくばへ戻る。
平出竹店さんの髭は20cmはある。そして渡部木材さんの髭は10cmほど。
平出さんは渡部さんのことを髭さんと呼ぶ。




