山の奥の奥会津
喜多方を満喫して6月9日10日と会津若松から奥会津へ。
農閑工芸の調査は続く。
会津若松市内にある三浦木工さんの工房見学から。
三浦さんは漆器の木地を挽く仕事に就く轆轤師。いつ注文が来ても対応できるようにたくさんの荒挽きされた材料が乾燥されながら製品になるのを待っている。たくさんという表現では納まりきれない圧倒的な量の木地が積まれている。
職人さんの工房に伺ったことの無い学生も多く、仕事場の放つ空気にみな緊張。
その後福島県立博物館を見学。そして三島へ。
会津若松から山間の道路を山に向かって走っていく。只見川の氾濫した跡がはっきりと残る。
昼食にそばを食べ、工人祭の開かれている三島生活工芸館へ。
以前マタタビ細工の調査の際、一度寄ったことがある。三島は桐のタンスの生産地でもあり、町は植えられている桐の花で彩られていた。
工人祭では、奥会津の手仕事による様々な物が紹介されていた。マタタビ、ヤマブドウ、クルミ、カラムシ、ヒロロ、タケ、ワラ、シナ、ガマ、何でも来いの状態。作り手が店主となって100近いテントが張られ、山深い風土で育ってきた手仕事の品が並ぶ。
山の中から使えそうな素材を探し、幾代にも渡って工夫され受け継がれてきた仕事。縄文の頃より変わらない仕事もある。人の暮らしが太古より繋がっている事を再認識。
木材というと、伐採された樹木の幹部分を指し、家具や建築等に使われる。
例えば曲げ物に使う材料も薄く加工されたものだが木材と呼べる。鉋屑は木材とは呼ばれない。ある程度量のあるものが木材と呼ばれる。
以前伺った箕の制作現場ではイタヤカエデを薄く割いて編み込んでいった。その薄く割かれるイタヤカエデは、途中まで木材なのだが、薄く割かれるに従い、木材というより木の繊維によって成り立っている帯状のテープとなる。
どこまでが木材で、どこからが繊維という線引きは難しい。
樹木や草を編むさまざまな技術が残る奥会津で感じたことは、木や樹皮、草等の植物をつかった器作りが、そのまま織物へと繋がっているということ。
器から服へ。
木が編まれ、樹皮や竹が編まれ、草が編まれ、糸が編まれていく。樹木から布までがやわらかいグラデーションでつながっている。
奥会津は樹木を用いた造形から織物に至るまでの地続きの仕事が残る貴重な場所である。
そして、衣食住。
服、器、建築もやわらかいグラデーションとしてつながっている。
奥深い山間部で、様々な物を見て感覚的に実感した。
三島で一泊し昭和村へ。風情のある集落を車窓に眺めながら移動。
昭和村のからむし会館を見学。売店にマユミの木を束ねた珍しい箒もあった。珍しいとは、こちらの一方的な見方であって、作っている方にとっては珍しくもないであろう。
そして南会津町にある奥会津博物館を見学。ここも2回目になるが、木工の資料が充実している素晴らしい展示内容。
山を超え、峠を越え、白樺やブナの林を見ながら帰途につく。
実に濃厚な調査旅行。濃厚すぎて書ききれない。
7月も奥会津に行く。
会津の奥は深い。奥会津も奥が深い。




