10月31日にデザイナーズウィークの搬入が無事終了。学生の皆さんご苦労様。
翌日の11月1日から4日にかけて会津若松と喜多方。福島県立博物館では佐々木長生先生への農閑工芸の調査についてのご相談の後、関係する様々な資料を拝見させていただく。喜多方では郷土民族館や平出竹店等を見学。今後の調査対象を絞り込む。そして会津・漆の芸術祭2011。会津若松や喜多方の町中に点在する様々な作品を見て回る。もちろん「LIFE!」の展示も。
11月3日夕刻から大和川酒蔵北方風土館昭和蔵にて、映画『アレクセイと泉』の上映会があり、これにも参加。
本橋成一監督の『アレクセイと泉』は『ナージャの村』とともに、3、11以降様々なところで自主上映会が開かれている。そのおひとりでもある女優の木内みどりさんと本橋監督のトークイベントも上映後に開催。
本橋監督の奥様は、子供の頃からよく知っているというか、実家の斜め前に住んでいたちなちゃん。僕はかっちゃんと呼ばれる。芸大の先輩でもあります。
上映会終了後に本橋監督と木内さん、大和川酒造の佐藤さん、福島県立博物館の川延先生やジャスミン等とご一緒して喜多方の居酒屋で会食。本橋監督から「アレクセイと泉」撮影時のお話やその後の村の様子を興味深く伺う。
出版されている『アレクセイと泉』から。
「舞台は、ベラルーシ共和国の小さな農村ブジシチェ村。深い森を抜けると、静かで穏やかな人々の営みがある。
ここは、1986年に爆発事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所から、北東に180キロ。政府によって移動勧告が出され、600人の住人のほとんどが村を去った。残ったのは、55人の年寄りと1人の青年アレクセイだけ。村の名前は地図からも消し去られた。
あの日を境に、村のすべてが放射能によって汚染されてしまった。長い年月人々が耕してきた大地も、そこに育つジャガイモも、きのこが採れる森の中も・・・。しかしそんなブジシチェ村の中心には、まるで奇跡のように、放射線がまったく検出されない「泉」があった。
村人たちはこの泉を「百年の泉」と呼ぶ。大地に降り注いだ雨が地面に湧き出ているというのだ。彼らは長い天秤棒を巧みに操り、この泉から水を汲み上げる。毎日まいにち・・・。
百年の泉は、水汲みの場としてだけではなく、祈りをささげる場として、いつの日も村人たちの心のよりどころととなってきた。」
僕は小説や映画は、登場人物が少ないほど好きになる傾向があります。この映画ではアレクセイを中心に周辺の元気な年寄りたちの暮らしを撮影している。毎日泉から水を汲む仕事、畑仕事、木の伐採、泉の枠の修理、泉での洗濯、労働によりかたち作られるアレクセイの身体、興味深い聖人。いろんなカットが村のすがたを映し出す。
村の人々は、大地から具体的なものを手に入れるべく大地に働きかける。大地は豊かな実りを村人にもたらす。しかし、汚染された地において自給自足で暮らす人々が映し出される世界はとても理不尽なもの。
厳しくも美しい自然の姿をカメラはとらえる。村人のおかれた状況だけが、目に見えない放射能による汚染を伝える。アレクセイはじめブジシチェ村に残った年寄り達の暮らしは、そのような状況のなか淡々とわき続ける泉として映し出されていた。