みかん小屋調査2018冬 その3

室内温熱環境の実測調査の他にも、現地調査でわかってきたことがありました。

灰石の産地である臼杵市では、灰石を塀や基礎に利用している事例は確認できましたが、灰石のみかん小屋はみつかりませんでした。

海沿いの集落には漁業を生業としている集落が多いようですが、かつてみかんの栽培に力を入れていたという集落もみつかりました。

そこでは、漁業を営む集落の背後地にもみかん畑を広げていったとのことです。

調査中、みかん畑はあってもみかん小屋のない漁村集落がいくつかあって謎でしたが、ヒアリングで確認でき、納得。

基礎に灰石が利用されている事例。
臼杵市のみかん小屋の事例。かつて背後の斜面地は一面のみかん畑だったとのこと。その斜面地には、防風林として植えたというスギが見えます。

そして、斜面地のみかん畑で見られるイヌマキは、やはり防風林のようでした。津久見で、イヌマキの生垣が連続するみかん畑を確認できました。

イヌマキの生垣に守られたみかん畑。

調査の最終日、津久見市では「軽トラ市」が開催されていました。

小雨の降る中、大勢の人たちで賑わっていました。

みかん小屋の調査も、将来的には何らかのかたちでまちづくりに貢献できるよう、頑張りたいところです。

軽トラ市の様子。大勢のお客さんで賑わっていました。もちろん、みかんも販売されていましたよ。

みかん小屋調査2018冬 その2

今回の調査では予想外の獣害にあいました。

現地踏査中にイノシシに出会ったり、住民の方からもイノシシ、シカ、サル、タヌキなどが出ると聞いてはいたのですが、まさか測定器が被害に遭うとは思いませんでした。

本調査の時には何らかの対策が必要なことがわかりました。

予備調査の大切さをあらためて痛感した次第です。

アースチューブの出口に設置した温湿度センサが噛み切られていました。
アースチューブの吸気口(写真右下)から小動物が侵入したのでしょうか?
みかん小屋の横に設置した屋外気象測定器。その後、何者かに倒されてひっくり返っていました。住民の方の話では、イノシシの仕業のようです。壊れなくてよかった。

みかん小屋調査2018冬 その1

先月に続き、今月もみかん小屋の調査で大分県津久見市などへ行ってきました。

今回の主な目的は室内温熱環境の予備調査です。

みかん小屋の室内に温湿度計を設置。

タイプや立地の異なる複数のみかん小屋で調査を行うことができました。

アースチューブの出口にも温度計を設置しました。

この地中に埋めたチューブを前回までは「クールチューブ」と紹介していましたが、よく考えると小屋にみかんを貯蔵するのは冬なので、クールチューブと呼ぶのはおかしいですね。

2箇所のアースチューブの出口に温湿度計を設置。

今回の調査は、名城大学石井研究室との合同調査でした。

みかん小屋調査2018秋 その3

秋の調査の報告はこれで最後です。

 

今回の調査で新たに確認できたのは、みかんの種類の多さです。

なんと、この斜面のみかん畑(下の写真)には10種類以上のみかんがあると聞きました。

 

品種によって白いカバーをかけるもの、黒いカバーをかけるもの、カバーをかけないものがあるそうです。

足元にはソテツの葉らしきものが。肥料でしょうか?まわりにソテツは見当たりませんが・・・。

みかんの分布と歴史を調べる農景観研究も興味深く、挑戦してみたくなりました。

ここまでくると、建築デザインではなく、やはり環境デザインですね。

この他にも、イヌマキなどの生垣やみかん畑に点在するビワやイチジクも気になりました。

 

イヌマキの生垣。防風のためでしょうか?写真右側にはビワの木も写っています。

お昼は今回もマグロステーキ。

みかん小屋調査2018秋 その2

調査2日目は千怒の太田と藤内へ。

みかん畑で作業中の方たちに調査へのご協力をお願いに行きました。

斜面地のみかん畑を登ったり降りたりした結果、翌日にはふくらはぎが張りました。

 

みかん畑の道を歩いていると、モノラックに乗ったみかん農家の方と出会えました。

「みかん畑の奥の方に1棟あるよ」と言われ、斜面を上って行きました。(許可を得てみかん畑に入っています。)

かなり上った先に確かに平屋の三和のみかん小屋がありました。よかった。

下屋付きの三和のみかん小屋。

三和をモルタルで補強したタイプ。クールチューブの吸気口が2箇所あります。

三和の壁の角が丸く仕上げてあります。

斜面地のみかん畑にみかん小屋が点在しています。

みかん小屋調査2018秋 その1

大分県津久見市へ、みかん小屋の調査に行ってきました。

12月に室内温熱環境のプレ調査を名城大学・石井研究室との共同研究として行うことになり、今回は調査対象の小屋の選定と調査協力依頼が主な目的です。

初日は津久見市長目浦代へ。

津久見市役所農林水産課の五十川さんのご協力もあって、灰石のみかん小屋で調査できることになりました。

 

現役で使用されているみかん小屋に協力してもらえることに。写真は越屋根の通風口。

調査対象のクールチューブ。

調査にご協力いただけることになったみかん小屋(1・2枚目の写真とは別の小屋です)。

灰石を積み上げて造られています。

第57回 日本生気象学会大会(京都) その2

第57回 日本生気象学会大会(京都)の2日目にはポスター発表のセッションがありました。

大学院生の今くんが取手の水屋等に関する調査結果を発表しました。

また、共同研究者の渡邊先生(大同大学)と石井先生(名城大学)が昨年行った加計呂麻島での調査結果を、佐藤先生(名城大学)が今年行った牡鹿半島での調査結果を発表しました。

 

発表内容の説明をする今くん。ポスターの他に調査対象の資料集も作成してくれました。

取手市の水屋。生垣や庭木もかっこいい。

加計呂麻島・須子茂集落の浜で温熱環境を測定。暑かった。でも気持ち良かった。

牡鹿半島・狐崎浜の風は寒かったです。

牡鹿半島での調査ではもものうらビレッジに宿泊。スウェーデントーチで盛り上がりました。

みかん小屋調査2018夏 その2

みかん小屋調査の追記です。

前回は三和(さんわ)のみかん小屋を紹介しましたが、灰石のみかん小屋も魅力的です。

灰石のみかん小屋。

 

換気のための越屋根やクールチューブが備えられているものもあり、温熱環境デザイン手法にも注目です。

クールチューブの排気口。地下に横穴が通されています。

床にクールチューブの排気口(蓋が閉じらています)があるのがわかりますか?

 

津久見のお隣、臼杵市では、丸い石を綺麗に並べた三和(さんわ)の建物もありました。

丸い石が綺麗に並べられています。

角から見てもいい感じ。美意識が高い。

 

津久見はマグロも有名で、お昼は加茂さんのお店「浜茶屋」さんでマグロ三昧。

浜茶屋名物 マグロステーキ。

津久見名物 ひゅうが丼。

みかん小屋調査2018夏 その1

斜面地のみかん畑に点在するみかん小屋。

大分県津久見市でみかん小屋の調査を行いました。

津久見市でプロジェクトの実績がある原忠信准教授とみかん小屋に詳しい加茂恵介さんに案内していただきました。

加茂さん(右)の説明を聞く大学院生の栗原くん(左)。

他の地域でも見られるような木造・土壁・漆喰仕上げの小屋もありますが、三和(さんわ)と呼ばれる石積みを三和土(たたき)で固めた小屋や、灰石の組積造の小屋が魅力的です。

三和(さんわ)のみかん小屋。かっこ良くもあり、かわいくもあり、まさにヴァナキュラー建築。

会津若松調査2018夏 その2

今年の夏は各地で猛暑や熱中症が話題となっていますが、会津若松も暑かったです。

調査の合間に気温が40度を超えることもありました。

それでも、日陰に入り風が吹くとそれなりに気持ち良く感じました。

日射遮蔽と通風の効果を改めて実感した次第です。

 

さて、今回の調査は大同大学・渡邊慎一先生の研究室と名城大学・石井仁先生の研究室との合同調査でした。

昨年・一昨年は奄美大島での合同調査を行いましたが、今年は会津若松に行きました。

気温・湿度・気流・放射を観測することによる、温熱環境指標を用いた体感温度での環境評価が目的です。

また、紫外線の観測を同時に行っているのも独自な点です。

 

渡邊先生と石井先生は紫外線対策をバッチリ行っていましたが、私は帽子をかぶるくらいでほぼノーガード。

随分と日焼けしました。

日中は西風が吹くことが多く、結果的に左腕の方がよく焼けました。方位別の紫外線分布の把握も重要なのかも。

(風向風速は風下側で観測するため、西風が吹くと体の左側が南を向くことになります。)

 

かつての洗い場を利用して、水路沿いでの観測を行いました。さて、水路の冷却効果はどの程度あるのでしょうか???

 

調査も無事終わり、最後に記念撮影。学生さんたちもかなり日焼けして、夏らしい感じになっていました。