会津若松調査2018夏 その2

今年の夏は各地で猛暑や熱中症が話題となっていますが、会津若松も暑かったです。

調査の合間に気温が40度を超えることもありました。

それでも、日陰に入り風が吹くとそれなりに気持ち良く感じました。

日射遮蔽と通風の効果を改めて実感した次第です。

 

さて、今回の調査は大同大学・渡邊慎一先生の研究室と名城大学・石井仁先生の研究室との合同調査でした。

昨年・一昨年は奄美大島での合同調査を行いましたが、今年は会津若松に行きました。

気温・湿度・気流・放射を観測することによる、温熱環境指標を用いた体感温度での環境評価が目的です。

また、紫外線の観測を同時に行っているのも独自な点です。

 

渡邊先生と石井先生は紫外線対策をバッチリ行っていましたが、私は帽子をかぶるくらいでほぼノーガード。

随分と日焼けしました。

日中は西風が吹くことが多く、結果的に左腕の方がよく焼けました。方位別の紫外線分布の把握も重要なのかも。

(風向風速は風下側で観測するため、西風が吹くと体の左側が南を向くことになります。)

 

かつての洗い場を利用して、水路沿いでの観測を行いました。さて、水路の冷却効果はどの程度あるのでしょうか???

 

調査も無事終わり、最後に記念撮影。学生さんたちもかなり日焼けして、夏らしい感じになっていました。

会津若松調査2018夏 その1

8月上旬に会津若松市北会津町二日町集落で小気候観測等の現地調査を行いました。

景観要素としては集落内に点在する屋敷森と水路や石垣が特徴的で、環境調節だけでなく水害対策としての機能も有しています。

茅葺き屋根にトタンを被せた昔ながらの民家や、土蔵や納屋といった付属屋も多くみられます。

この集落では、2013年にも調査を行ったことがあります。

集落内の建物配置の調査や冬の小気候観測調査を行い、屋敷森や付属屋は冬の季節風から集落を守るような配置となっており、一定の防風効果が期待できることを確認しました。

その時の中心メンバーだった佐藤布武くんは、その後、博士の学位を取得し、筑波大学助教を経て、現在は名城大学の助教です。

早いものであれから5年も経つのですね。

 

残念ながら、その後、屋敷森は減少傾向にあるようですが、水路の水は以前よりも綺麗になったとのこと。

伝統集落に蓄積されてきた環境デザインの効果を検証することで、伝統的な景観の維持だけでなく、新たなデザイン手法の発想・提案へと繋げていきたいと思っています。

二日町集落。屋敷森が点在しています。
ビラム式風向風速計で風を観測します。

 

 

関連論文:

佐藤布武,橋本 剛,豊川 尚,石井 仁:季節風と洪水に備えた伝統集落の集落構成原理と屋敷森の防風効果,日本生気象学会雑誌,第52巻,第4号,pp.185-197,2015

佐藤布武,橋本 剛:複合扇状地における集落規模での屋敷森の近年における変化と維持・継承,日本建築学会計画系論文集,第81巻,第722号,pp.889-898,2016