台風一過

今日は絵に描いたような台風一過。

昨晩は茨城でも台風24号による強い風が吹きました。

10数年前、私が筑波大学に着任した頃はつくば市に勢力の強い台風が来ることは稀でしたが、最近は毎年のように強い台風に襲われている気がします。

気候変動、地球温暖化の影響なのでしょうか。

 

研究室のある建物の前の木の枝がばっさりと折られていました。

屋敷森が伐採される理由のひとつに、「強風時に枝が(木が)折れるようになった。折れた枝が(木が)隣家にご迷惑になるといけないので屋敷森を切った」というような話を聞きます。

 

エントランスの前に大きな木の枝が。

 

枝がばっさりと折られているのがわかりますか?

秋学期に向けて

昨日は研究室ゼミでした。

秋学期に向けて、ゼミのスケジュール調整等を行いました。

筑波大学では、春学期・秋学期の2学期制でカリキュラムが編成されています。

 

今年の秋学期は、学群4年生の伊藤さんの卒業研究を中心に、ゼミが行われる予定です。

筑波大学芸術専門学群デザイン専攻では、卒業研究として、卒論・卒制の両方に取り組みます。

最近では、卒論、卒制のどちらか一方にだけ取り組む建築系の大学が増えてきているようですが、やっぱり集大成として理論(研究)と実践(設計)の両方に取り組むことは大事なことだと思います。大変ですけど。

伊藤さんは、鹿児島県の加計呂麻島にある須子茂集落を対象地として卒論・卒制に挑戦中です。

 

須子茂集落の伝統的な生垣景観を調査中の伊藤さん。

みかん小屋調査2018夏 その2

みかん小屋調査の追記です。

前回は三和(さんわ)のみかん小屋を紹介しましたが、灰石のみかん小屋も魅力的です。

灰石のみかん小屋。

 

換気のための越屋根やクールチューブが備えられているものもあり、温熱環境デザイン手法にも注目です。

クールチューブの排気口。地下に横穴が通されています。
床にクールチューブの排気口(蓋が閉じらています)があるのがわかりますか?

 

津久見のお隣、臼杵市では、丸い石を綺麗に並べた三和(さんわ)の建物もありました。

丸い石が綺麗に並べられています。
角から見てもいい感じ。美意識が高い。

 

津久見はマグロも有名で、お昼は加茂さんのお店「浜茶屋」さんでマグロ三昧。

浜茶屋名物 マグロステーキ。
津久見名物 ひゅうが丼。

週末西へ

先週末は名古屋・大阪へと行ってきました。

土曜日は名城大学で行われた「大同大学 渡邊研究室・京都府立大学 長野研究室・名城大学 石井研究室 合同卒論中間発表会」に出席させていただきました。

すでに調査・分析が進んでいる学生もいれば、これから実験を行う予定の学生も。

渡邊先生、長野先生、石井先生は私と同じく名古屋工業大学・堀越研究室の出身で年齢も近く、各研究室の活動は刺激になります。

発表会には堀越先生も出席していただけました。堀越先生は現在、愛知産業大学の学長です。

日曜日は大阪で人間-生活環境系学会の理事会がありました。

 

合同卒論中間発表会の会場。
会津若松市二日町集落での調査結果の中間発表もありました。

 

 

 

建築学会大会2018(東北)

今日から3日間、東北大学で2018年度日本建築学会大会が行われており、研究室のみんなで参加しています。

初日の今日は橋本の発表がありました。板倉実験棟の冬季調査の報告です。

明日は大学院生の栗原くんの発表、明後日は大学院生の今くんの発表があります。

夜明けの板倉実験棟。断熱化の影響を検証しました。

みかん小屋調査2018夏 その1

斜面地のみかん畑に点在するみかん小屋。

大分県津久見市でみかん小屋の調査を行いました。

津久見市でプロジェクトの実績がある原忠信准教授とみかん小屋に詳しい加茂恵介さんに案内していただきました。

加茂さん(右)の説明を聞く大学院生の栗原くん(左)。

他の地域でも見られるような木造・土壁・漆喰仕上げの小屋もありますが、三和(さんわ)と呼ばれる石積みを三和土(たたき)で固めた小屋や、灰石の組積造の小屋が魅力的です。

三和(さんわ)のみかん小屋。かっこ良くもあり、かわいくもあり、まさにヴァナキュラー建築。

会津若松調査2018夏 その2

今年の夏は各地で猛暑や熱中症が話題となっていますが、会津若松も暑かったです。

調査の合間に気温が40度を超えることもありました。

それでも、日陰に入り風が吹くとそれなりに気持ち良く感じました。

日射遮蔽と通風の効果を改めて実感した次第です。

 

さて、今回の調査は大同大学・渡邊慎一先生の研究室と名城大学・石井仁先生の研究室との合同調査でした。

昨年・一昨年は奄美大島での合同調査を行いましたが、今年は会津若松に行きました。

気温・湿度・気流・放射を観測することによる、温熱環境指標を用いた体感温度での環境評価が目的です。

また、紫外線の観測を同時に行っているのも独自な点です。

 

渡邊先生と石井先生は紫外線対策をバッチリ行っていましたが、私は帽子をかぶるくらいでほぼノーガード。

随分と日焼けしました。

日中は西風が吹くことが多く、結果的に左腕の方がよく焼けました。方位別の紫外線分布の把握も重要なのかも。

(風向風速は風下側で観測するため、西風が吹くと体の左側が南を向くことになります。)

 

かつての洗い場を利用して、水路沿いでの観測を行いました。さて、水路の冷却効果はどの程度あるのでしょうか???

 

調査も無事終わり、最後に記念撮影。学生さんたちもかなり日焼けして、夏らしい感じになっていました。

会津若松調査2018夏 その1

8月上旬に会津若松市北会津町二日町集落で小気候観測等の現地調査を行いました。

景観要素としては集落内に点在する屋敷森と水路や石垣が特徴的で、環境調節だけでなく水害対策としての機能も有しています。

茅葺き屋根にトタンを被せた昔ながらの民家や、土蔵や納屋といった付属屋も多くみられます。

この集落では、2013年にも調査を行ったことがあります。

集落内の建物配置の調査や冬の小気候観測調査を行い、屋敷森や付属屋は冬の季節風から集落を守るような配置となっており、一定の防風効果が期待できることを確認しました。

その時の中心メンバーだった佐藤布武くんは、その後、博士の学位を取得し、筑波大学助教を経て、現在は名城大学の助教です。

早いものであれから5年も経つのですね。

 

残念ながら、その後、屋敷森は減少傾向にあるようですが、水路の水は以前よりも綺麗になったとのこと。

伝統集落に蓄積されてきた環境デザインの効果を検証することで、伝統的な景観の維持だけでなく、新たなデザイン手法の発想・提案へと繋げていきたいと思っています。

二日町集落。屋敷森が点在しています。
ビラム式風向風速計で風を観測します。

 

 

関連論文:

佐藤布武,橋本 剛,豊川 尚,石井 仁:季節風と洪水に備えた伝統集落の集落構成原理と屋敷森の防風効果,日本生気象学会雑誌,第52巻,第4号,pp.185-197,2015

佐藤布武,橋本 剛:複合扇状地における集落規模での屋敷森の近年における変化と維持・継承,日本建築学会計画系論文集,第81巻,第722号,pp.889-898,2016