8月上旬に会津若松市北会津町二日町集落で小気候観測等の現地調査を行いました。
景観要素としては集落内に点在する屋敷森と水路や石垣が特徴的で、環境調節だけでなく水害対策としての機能も有しています。
茅葺き屋根にトタンを被せた昔ながらの民家や、土蔵や納屋といった付属屋も多くみられます。
この集落では、2013年にも調査を行ったことがあります。
集落内の建物配置の調査や冬の小気候観測調査を行い、屋敷森や付属屋は冬の季節風から集落を守るような配置となっており、一定の防風効果が期待できることを確認しました。
その時の中心メンバーだった佐藤布武くんは、その後、博士の学位を取得し、筑波大学助教を経て、現在は名城大学の助教です。
早いものであれから5年も経つのですね。
残念ながら、その後、屋敷森は減少傾向にあるようですが、水路の水は以前よりも綺麗になったとのこと。
伝統集落に蓄積されてきた環境デザインの効果を検証することで、伝統的な景観の維持だけでなく、新たなデザイン手法の発想・提案へと繋げていきたいと思っています。


関連論文:
佐藤布武,橋本 剛,豊川 尚,石井 仁:季節風と洪水に備えた伝統集落の集落構成原理と屋敷森の防風効果,日本生気象学会雑誌,第52巻,第4号,pp.185-197,2015
佐藤布武,橋本 剛:複合扇状地における集落規模での屋敷森の近年における変化と維持・継承,日本建築学会計画系論文集,第81巻,第722号,pp.889-898,2016