芸術専門学群の領域
筑波大学芸術専門学群は、1学年100名の少人数に14領域の多彩な芸術の専門教育を提供できる利点を生かして、幅広い見識と豊かな創造力をそなえた芸術の専門家を育成しています。これまでに、美術家・デザイナー・研究者など、芸術・デザイン分野で指導的役割を担う優れた卒業生を多数輩出しています。
美術史
「美術史領域」では、古代から現代にいたるさまざまな時代や地域の芸術に関して学び、「芸術とはなにか」という根本的な問題をはじめとする、多種多様な問題を考えます。
主な進路
大学院進学、学芸員など。
芸術支援
芸術表現・鑑賞支援ツールの開発、芸術活動のサポートとケア、芸術とウェルネス、アートライティング、美術館教育、芸術支援学演習などの科目を通し、芸術による人間性回復と芸術の社会的役割の追求を目指し、社会における芸術支援活動の企画・運営・教育普及等において指導的な役割を果たすための理論と実践を学ぶことができます。
主な進路
美術館・文化団体、大学院芸術学学位プログラムへの進学(その後美術館・文化団体等、大学教員等)、学校教員、公務員、金融機関、一般企業など。
洋画
油絵やテンペラ画、アクリル画などの絵画表現について、基礎的な描写力から様々な技法や構想について専門的に学ぶことができます。
主な進路
- 専門分野を生かした美術教員(中高)や大学の教員
- 画家やイラストレーターとしての作家活動
- 公務員など
日本画
日本画の材料は大学で初めて扱う学生さんがほとんどなので、その伝統的な素材、技法について実習を通して学んでいくことが大きな魅力です。古典の理解を深め、基礎的知識を身につけながら、高い創造性のある自己表現力を目指していきます。
主な進路
大学院進学、美術教員、公務員、アニメ・ゲーム制作会社、デザイナーなどで企業に就職する方も多いです。
絵を描くことはイメージを形にして伝えることなので、それが自分の手でできる能力は、社会でも多く求められているようです。
彫塑
彫塑領域では主に粘土などの可塑材や、木、石、金属などの素材を用いて、立体造形表現について学びます。
主な進路
卒業後は教員や彫刻家、造形作家、一般企業(カー・モデラーなど多種)などを活躍の場とする人が多く、大学院へ進学する学生も多いです。
書
書の作品制作と、日本・中国における書の歴史の研究に取り組んでいます。
書は伝統的なイメージがありますが、いまも変化や発見の絶えない分野です。実技と理論をバランスよく学ぶことで、これまでにない作風や問題を見出し挑戦することができます。
主な進路
高等学校芸術科(書道)・国語科教諭、中学校国語科教諭、県庁・市役所などの公務員、作家など。
(大学院進学者では、大学教員、博物館・美術館学芸員など。)
版画
今日のメディアの元祖ともいえる版画について様々な技法を学び、自身に合った表現手法を通して「版表現」の可能性を追求します。
主な進路
大学院進学、教員(中学校、高等学校、大学等)、版画家、Webデザイナー、イラストレーター、漫画家、会社員など多方面で活躍する先輩がいます。
構成
構成領域は造形の基本要素である色、形、テクスチャー、動きなどを様々に組み合わせることでどんな表現効果が生まれ得るのかを専門的に研究する領域です。…と言われても抽象的すぎてなかなかイメージが湧かないと思いますが、例えば音楽でいえば何か特定の楽器のプロフェッショナルになることを目指すよりも、新しい楽器を作ってみるとか、既存の楽器を通常とは異なる方法で奏でてみるとか、普通は一緒に演奏しない楽器と組み合わせてみるとか、そういう実験的、挑戦的なことを推奨する場としてのイメージを持ってもらうと良いと思います。研究成果の具体的な活用場面を一切想定せずに表現の可能性を探究することもできる、視覚表現分野では珍しい研究領域です。
主な進路
グラフィックデザイナー、ディスプレイデザイナー、webデザイナー、ジュエリーデザイナー、映像作家、美術作家、大学教員、中高美術教員など様々です。
総合造形
総合造形領域は、その視点を現代に据え、「社会の鏡」とも言われる芸術を通して、時代に対応できる眼を養うことをねらいとして、特に20世紀の芸術を主題に取り上げ、その理論と実制作を通して芸術と社会との関わりを学びます。
総合造形は、造形表現、メディアアート、インスタレーションの3つの内容によって構成されています。環境における一種の装置であるという見方、その展開のあり方を学習します。
新しいタイプの芸術家の育成とともに、現代の造形芸術を基盤として幅広い視野と体験を持ち、芸術教養を備えた社会人の育成を目指しています。
主な進路
卒業後は、造形作家、メディアアーティスト、教員、美術館学芸員の他、企業では宣伝企画、展示、Webデザイン、編集デザイン、映像制作などの分野へ道が開かれています。
工芸
工芸領域には、ガラス、陶磁、木工・漆芸の3つの分野があります。それぞれの素材に関する演習、実習を通じて、専門的な知識、技術、造形力の修得と、ものづくりの伝統に対する理解力を教育目標としています。
主な進路
一般企業、造形作家、教員、大学院へ進学など。
ビジュアルデザイン
ビジュアルデザイン領域では、ビジュアルデザインについて総合的に学び研究します。ビジュアルデザインとは、視覚に訴えて内容を美しく効果的に伝えようとする、デザインの一分野です。グラフィックデザイン、情報デザインなどとも関連はありますが、視覚的造形的側面を重視しようとする意図から、このような名称にしています。具体的な内容としては、イラストレーション、タイポグラフィ(文字に関するデザイン)、印刷・編集デザイン、写真、デジタルグラフィックス等を含みます。
また、広告デザイン、パッケージデザイン、企業や団体のデザインシステム、サイン計画、色彩計画、ブックデザイン、絵本等についても学びます。
主な進路
大学院進学、各種デザイナー(広告、Web、書籍、雑誌、パッケージ、書体、空間、ゲーム等)、出版社、新聞社、印刷会社、絵本作家、イラストレーター、写真家、大学教員などとして活躍しています。現代のデザイン上の諸問題に積極的に取り組む、創造的で自律的なクリエイターや研究者が生まれることを期待しています。
情報・プロダクトデザイン
子供からお年寄りまで誰にでも使いやすいデザイン、ネットワーク上でのWebデザイン、デジタルカメラや携帯機器などのわかりやすい情報機器のデザイン、ゲームのデザイン、デジタルコンテンツ、状況に応じた機器サービス、環境にやさしいデザインの尊重など、スタイリングやUXとしてのデザインだけでなく、人とモノとの関係性や、社会に対して何をデザインするべきかについて、基礎理論と実践的科目の両面から教育を行っています。
主な進路
自動車から家電メーカーまで、多種多様なプロダクト関連企業や、インターネット関連企業、ゲーム開発企業、大学教員など、幅広い分野のデザイナーとして活躍しています。
環境デザイン
人間と環境の関係に関する設計や計画を学ぶことができます。あらゆるスケールの空間を対象にできるのが魅力です。屋内空間、街路、広場、公園、都市、山野・湖沼・河川など多岐に渡る空間が設計対象です。
主な進路
大学院進学、環境コンサルティング、設計事務所、公務員など。
建築デザイン
住宅・インテリアから大規模施設、都市まで、幅広いスケールの空間デザイン(企画、計画、設計など)の専門家になるための知と技法を修得します。時代と土地と社会とを理解し、あるべき居住空間を構想して実現するまでの行為を一貫して、建築として学び、未来を創造する力を育みます。必要な単位を修得すると卒業時に一級・二級・木造建築士の受験資格が得られます。
主な進路
大学院進学、建築家(アトリエ事務所、組織設計事務所、ゼネコン設計部)、建築技術者(施工、管理)、ディベロッパー、コンサルタント、インテリアデザイナー、公務員、研究者、NPO職員など。