筑波大学芸術学美術史学会 令和6年度総会・令和7年度春季研究発表会のご案内

【日 時】2025年4月26日(土)13:30~15:45 (受付13:15~)

総   会 13:30~13:45

研究発表会 13:45~15:45

【会 場】筑波大学芸術系棟B203会議室(対面開催)

【Zoomオンライン同時配信】接続先は会員宛ハガキに記載

【研究発表】

松谷 芙美(筑波大学大学院芸術学学位プログラム博士後期課程1年)

雪村周継の人物表現ー新出の龐婆霊照女像、以天宗清像の考察を中心に

堀 咲子(筑波大学大学院芸術学学位プログラム博士後期課程2年)

ユダヤ人美術商フェリックス・ティコティンの活動と功績:1938年ハーグ開催の日本版画芸術展と水彩画家デ・ブライン・アウボーテルの作品を中心に

 

 

美術史領域(学群)学外演習2024報告

今年は大学院生は台湾、学群生は国内での学外演習となりました。
学群生は①11月15日(金)から17日(日)までの2泊3日の宿泊研修と②12月6日(金)の日帰り研修をおこないました。
参加学生:学群生9名、引率教員: 林みちこ

11月15日(金)
熱海のMOA美術館に集合。
特別展「光琳 国宝「紅白梅図屏風」×重文「風神雷神図屏風」」でMOA美術館の所蔵品および他の美術館・博物館から集められた琳派の作品を多数鑑賞。それほど混雑していなかったため、「紅白梅図屏風」などの名品を熟覧することができました。そのあとは広大な庭園へ。学生たちは、復元された光琳屋敷や茶庭に咲くさまざまな草花、竹林などたくさんの写真を撮っていました。
小田原駅に移動して小田原泊。

11月16日(土)
朝一番で箱根に上がり、仙石原のポーラ美術館へ。
講堂にて学芸員の東海林洋氏に美術館について建築、コレクション、運営などの詳細な解説、開催中の「フィリップ・パレーノ この場所、あの空」展の概要説明を頂いてから展示室へ。驚きに満ちた仕掛けの映像作品、インスタレーションの数々を鑑賞しました。コレクション展も見学したあとは屋外の遊歩道へ。森の中に設置された現代アートの作品も楽しみました。事前課題として訪問先の美術館のコレクションから各自選んだ1点について解説を書いていたため、他の学生の書いた文章を読みながら作品を熟覧することもできました。

   

その後、彫刻の森美術館へ移動。広い敷地内を散策しながら鑑賞しました。途中、雨が降り始め、山の天気の変わりやすさを実感。


小田原に戻り、小田原2泊目。

11月17日(日)
朝、ふたたび箱根に上がり、小涌谷の岡田美術館へ。スマートフォン含む全ての荷物を預け、金属探知機を通って身一つで展示室へ。東洋陶磁、日本の近代陶芸、日本の近世絵画の膨大なコレクション。見ても見ても終わらない圧倒的な収蔵品数です。一部の学生は、外に出たところにある「足湯」に入って3日間の足の疲れを癒しました。
その後、解散。

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12月6日(金)
水戸の茨城県近代美術館へ集合。
館長の荒屋鋪透氏から講義室にて企画展「没後100年 中村彝展」の開催意図や展示に関する工夫について解説をしていただき、そのあと展示室で自由見学。
西洋絵画を雑誌や画集で学び、自作に生かしていったことを示す多数の関連資料も含め、病で早世した中村彝の絵画がジャンルごとに展示されていました。画業の変遷がよくわかる以上に、彝の生きるための闘いが心に迫ってくる展覧会でした。コレクション展での関連展示も鑑賞したあと、美術館の隣に移築されている中村彝のアトリエも見学。モミジが真っ赤に色づいており、そこに、絵の中にも描き込まれた赤い鳥かごがひとつ。中村彝の見た風景が再現されていました。

筑波大学芸術学美術史学会・24年度秋季研究発表会を開催します

令和6年度秋季研究発表会を、下記のとおり対面およびオンライン同時配信にて開催いたします。プログラムは下記の通りです。皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げております。

【日時】2024年12月8日(日)14:00~16:00(受付13:45~)
【会場】対面での開催(筑波大学芸術系棟B203会議室)およびZoomオンライン同時配信
会員の方でオンライン参加を希望される方は、すでに郵送しているご案内をご覧いただくか、以下のアドレスまでご連絡ください。
geigaku[@]geijutsu.tsukuba.ac.jp

【研究発表】
久光 真央(下関市立美術館学芸員)
下関市立美術館所蔵の香月泰男コレクションに関する一考察
濱田 洋亮(福島県立美術館学芸員)
ジョージ・ナカシマとベン・シャーン―「第1回ジョージ・ナカシマ展」におけるインテリアとしてのアート―

公開研究会 石膏「模」像とはなにか——その素材と技法

日時 2024年10月26日(土) 13時30分から16時(13時開場)
会場 筑波大学 東京キャンパス 文京校舎116教室(東京都文京区大塚3−29−1[地下鉄丸ノ内線「茗荷谷」駅から徒歩約3分])
主催 JSPS科学研究費補助金・基盤研究(C)24K03482「石膏模像のアカデミック・リソース化と彫刻史を中軸とする非西洋的視座の美術史構築」

西洋古代から近世の彫刻を原作とする石膏模像は、明治時代に美術教育制度とともに日本に入り、おもにデッサンの教材として普及してきた。こうした石膏模像は、デッサン教育の成立と展開をあとづける文脈においては取り上げられてきたものの、オリジナルとコピー、作品と非作品を差別し階層化する西洋近代の価値観に根ざす美術史研究に おいては、これまで正面から論じられることがほとんどなかった。今回の研究会では、石膏模像を彫刻史のうえに据えて体系化し、日本や東アジア諸国での受容と変容を、受動的で一元的な欧化現象ではなく、能動的で多元的な非西洋化のあらわれと見なそうとする取り組みの初歩段階として、素材と技法に焦点をあてる。報告者として、日本に残る数少ない石膏模像製作者のひとりである脇本壮二氏と、 現存する初期伝来石膏模像をはじめ現存・物故作家の彫刻作品の修復を数多く手がけてきた高橋裕二氏を迎える。

 

趣旨説明 寺門臨太郎(筑波大学/研究代表者)

報告1 脇本壮二(堀石膏制作)

報告2 髙橋裕二(有限会社ブロンズスタジオ)

全体討論+菊地施工模型所「ヘラクレス全身像」(筑波大学所蔵)をめぐって

脇本壮二 髙橋裕二 金井直(信州大学/研究分担者) 田中修二(日本大学/同前) 荒木慎也(多摩美術大学/同前)

 

菊地石膏模型所「ヘラクレス全身像」1914−43年? 石膏 高74cm 筑波大学アート・コレクション(撮影©重松善樹)

 

台湾への学外演習(大学院生)実施報告

9月20日(金)から23(月)まで、美術史領域の学外演習(大学院)で台北市を訪れました。

(博士前期課程学生7名+引率教員1名:林みちこ)

1日目 移動日。宿泊先集合後、台湾円卓料理を味わいました。

2日目 国立師範大学にてTaiwan-Japan Art History Graduate Students’ Symposiumに参加。15名が英語で美術史研究の特定課題を発表し、本学からは博士前期課程芸術学学位プログラムの3名が登壇しました。このシンポジウムは台日五大学(国立師範大学、国立台湾大学、国立中央大学、九州大学、筑波大学)の美術史研究室によって毎年行われてきたものです。2011年から始まりましたがコロナ禍で4年間実施できず、9回目の今回は久しぶりの開催となり再会を喜びました。活発なディスカッションが行われ、よい研究交流となりました。

 

3日目 台北市内博物館、美術館見学。

事前学習にもとづき各館を担当した学生が小プレゼンを行ったあと各自で見学しました。

①故宮博物院

②台北市立美術館

③国立台湾博物館

④台北当代芸術館

途中から土砂降りの雨になりましたが、充実した美術鑑賞ができました。

4日目  市内自由行動のあと、帰国。