• アートメダルの魅力とその未来

アートメダルの歴史は、国際ゴシック様式を代表するイタリアの画家ピサネロ(Pisanello, 1395年頃-1455年頃)まで遡ります。1937年には、FIDEM(国際芸術メダル連盟)がパリで設立され、現在では40ヶ国以上の研究団体がこれに加盟しており、国際的なアートの一分野となっています。FIDEMは、隔年でアートメダルの国際会議(FIDEM Congress)と国際展を開催しており、2020年にはアジアで初となる国際会議・展覧会が東京で開催されます。

一般的にメダルのイメージは「円形で裏表のある金属レリーフ」に収まるものと言えるでしょう。しかし、アートメダルでは「メダルをどのようにつくるか」という技術的な観点だけではなく、「何をもってメダルとするか」というコンセプトも重要視されます。形態・素材・技法・アイデア・イデオロギーといったそれぞれの観点から、アーティスト各々がメダル表現の在り方を問うのです。その多彩さから、アートメダルは「手のひらのアート」と呼ばれます。

TAMP(つくばアートメダルプロジェクト)では、「多文化理解」「ダイバーシティー」「インクルージョン」をキーワードとするアートプロジェクトの実施を通して、社会包摂に資する新たな芸術実践のかたちの提起を目的としています。学生が主体となりながら、子どもから専門家まで、幅広い層の人々が楽しむことのできるアートメダルの可能性を模索していきます。