博士前期課程2年
Shigeno Kanako
芭蕉の句
170×70cm
あら海や 佐渡によこたふ天の川
昔よりこの島は小金多く涌出で 世にめでたき嶋にて侍るを
重罪朝敵の人々の遠流の地にて いと恐しき名に立り
松尾芭蕉 『柴橋』より
『奥の細道』にも収載されたこの句は暗い海の彼方の佐渡が島と銀河を詠んだもの。江戸時代、佐渡は幕府直轄金山であったが、その労働は過酷だった。私は故郷へ帰る時、羽越本線車窓より日本海に浮かぶこの島を眺める。秋口は強風のため運休することもしばしばである。
摹 秦漢南北朝印二十二顆
16×185cm
文字造型が突き詰められた方寸の世界は魅力的だ。
とりわけ古璽(こじ)印はどこかほのぼのとしていて愛らしい。
今までの摹刻をまとめ、封泥拓本も添えた。
印の歴史は封泥でスタートする。陰文で彫り、粘土に捺し、美しい立体像を得ていた。現在の紙に朱泥で押印するという形、緻密な印泥が現れるのは明代以降と言われる。
印影参考文献:
羅福頤編『秦漢南北朝官印徴存』(文物出版社、1987)
菅原石盧編『中国璽印集粋』(二玄社、1997)