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福島秀子「ささげもの」

作者生没:1927 東京 - 1997 東京
制作年:1957年
技法材質:油彩、カンヴァス
寸法:72.7 x 60.6 cm
署名:右下に署名「Hide」

展覧会歴:「榎本和子・福島秀子二人展」養清堂画廊 1957年6月24日-29日 no.4; 「第11回プレミオ・リソーネ展」イタリア 1959年 [XI. Premio Lissone Internazionale per la pittura, Lissone (Italy)]; 「第12回オマージュ瀧口修造.福島秀子展1948-1988」佐谷画廊 1992年7月3日-7月25日 no.13; 「前衛の女性 1950-1975」栃木県立美術館 2005年7月24日-9月11日 no. 37; 「特集展示 福島秀子: クロニクル1964- OFF MUSEUM」東京都現代美術館 2012月2月4日ー5月6日; 「戦後芸術を切り拓く 実験工房」神奈川県近代美術館 鎌倉 2013年1月12日-3月24日, いわき立市美術館 2013年4月20日-6月2日, 富山県立近代美術館 2013年7月13日ー9月8日, 北九州市立美術館 2013年10月5日-11月10日, 世田谷美術館 2013年11月23日-2014年1月26日

文献:『美術手帖』136(1958年1月号)47頁 図版;寺門臨太郎編『筑波大学所蔵石井コレクション Ⅰ. 絵画』、筑波大学芸術学系、2011年、cat. 69;五十殿利治・江口みなみ編『石井コレクション5:桂ゆき・福島秀子』、筑波大学芸術系、2017年、col. pl. p. 10;西澤晴美「福島秀子《ささげもの》(1957年)について」、『石井コレクション研究5:桂ゆき・福島秀子』、30−44頁;五十殿利治監修、寺門臨太郎編『筑波大学アート・コレクション 石井コレクション 美をめぐる饗宴(シュンポシオン)』、筑波大学出版会、2021年、口絵9;西澤晴美の一九五〇年代の創作活動について−絵画、詩、オートスライド」、『美をめぐる饗宴』、2021年、323−345頁。

所蔵番号:2010-JO-IS010

作品解説:
阿部展也や北代省三など周囲の美術家の影響を受けつつ、絵画の模索を続ける中で、福島は1950年代半ば、型押しによる円と、矩形あるいは線状で構成された独自の画風を確立していった。《ささげもの》はミシェル・タピエに認められ国内外で評価を高めるきっかけとなった「榎本和子・福島秀子二人展」の出品作で、この時期の代表作のひとつである。画面を区切るように強く描かれた線と矩形、その中に強弱をつけて押された大小の円は、生成しては消える水泡のようである。「実験工房」で制作したオート・スライド「水泡(みなわ)は創られる」に見られるように、水泡は福島にとって生命をあらわす重要なテーマであった。また、中央の矩形と円の構成は人の顔のようにも見え、画業の最初期から一貫して画面に現れる「人」のイメージを想起させる。力強い線と繊細な円による画面には独特の緊張感があり、静寂と叙情のただよう空間を生み出している。