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山田正亮「Work F-262」

作者生没:1930 東京 - 2010 東京
制作年:1995年
技法材質:油彩、カンヴァス
寸法:72.8 x 60.5 cm
署名・年記:裏面右上に署名・年記「一九九五年/山田正亮」; 同中央下に署名・年記「1995/m, yamada」

文献:寺門臨太郎編『筑波大学所蔵石井コレクション Ⅰ. 絵画』、筑波大学芸術学系、2011年、cat. 73。

所蔵番号:2010-JO-IS016

作品解説:
1956年から翌年にかけて、山田はそれまでのキュビスム的な静物画から、「アラベスクの絵画」への大きな転換期を迎える。その初期の作例となる《Work B.021》には、混沌とした「場」を志向する傾向が読み取れる。寒色を基調とした不規則な形態で画面は満たされ、その隙間を筆触を露わにした線が迷路のように走る。個々の形態は何か固有の事物を表現しているように見えなくもないが、その痕跡は微かだ。このような混沌に満ちた画面は次第に大きな矩形を中心に据え、個々の形態も一定の秩序をもつようになり、「Work C」シリーズのストライプ絵画に結実する。《Work C.18》はその典型的な作例だが、いわゆるミニマル・アートとは違い、画家による筆跡があからさまに残されている。一方、1995年の《Work F-262》は、明るい色調ながらも、画面を構成する幾何学形態には初期の画風を彷彿とさせるような不規則さが認められ、山田が50年代の様式に立ち返ったことを確認させる。