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曾宮一念「残雪阿蘇 高森に於いて」

作者生没:1893 東京 – 1994 富士宮(静岡)
制作年:1951年
技法材質:油彩、カンヴァス
寸法:54.5 x 39.8 cm
署名・年記:右下「Itinen S 1951」

文献:寺門臨太郎編『筑波大学所蔵石井コレクション Ⅰ. 絵画』、筑波大学芸術学系、2011年、cat. 9。

所蔵番号:2010-JO-IS008

作品解説:
晩年に失明して以降、自身の口述に基づき大沢健一が編んだ『火の山巡礼』(1989年 木耳社)によると、曽宮が初めて阿蘇山に行ったのは、1949年の秋のことだった。はじめその山容を捕えることのできなかった彼は、逗留先の温泉宿で高森という阿蘇山への眺望が開けた土地を教えられ、以後数回訪れることとなった。起伏に富む山肌が明瞭な彩りで大胆に描きとられた本作は、そうした高森滞在中に描かれた一点であろう。ところどころに塗り残しがある一方で、絵具を厚く盛ったマチエールによって、火山の重厚な強さをうまく表現している。