【受賞】芸術専門学群の1年生が「第7回 医療創生アイデアコンテスト」で文部科学大臣賞(最優秀賞)・協議会賞をダブル受賞

文部科学大臣賞の表彰式。右が堀米さん。左の画面に賞名と受賞作「めぐすりするん」の名前が映る
2026年10月2日(金)、福島県郡山市のビッグパレットふくしまで「第7回 医療創生アイデアコンテスト」(主催:ふくしま医療機器開発支援センター)の最終審査会が開かれ、筑波大学 芸術専門学群1年の堀米咲希(ほりごめ さき)さんの「めぐすりするん」が、最優秀賞にあたる文部科学大臣賞と、特別賞(協議会賞)をダブル受賞しました。
高校生から大学院生までを対象とするこのコンテストには、全国から205件のアイデアが寄せられました。その中から一次審査を通過した6組が、医療機器産業の展示会「メディカルクリエーションふくしま2026」の会場で最終プレゼンテーションに臨みました。
家族の経験から考えた、子どものための点眼補助具
今回のテーマは「このまちの医療・介護の“困った”をあなたはどう解決する?」。堀米さんが最初に思い浮かべたのは、家族のことでした。地元の仙台では家族そろって花粉症に悩まされ、幼稚園のころの妹は、目薬が怖くて毎回泣いていたといいます。
怖い理由を妹に尋ねると、答えは三つでした。うまくさせない、いつ落ちてくるか分からない、目薬の先端が見えて怖い。「めぐすりするん」は、この三つの不安を一つずつ和らげることを目指した点眼補助具の試作です。幼稚園から小学校低学年の子どもが使うことを想定し、万華鏡をのぞきながら、自分でレバーを握って目薬をさす仕組みです。三つの不安には、色の違う部品が一つずつ応えます。

3Dプリンターで製作した「めぐすりするん」の試作。黄色は目元に当てるパーツ、赤は点眼用のレバー、緑は目薬の先端の向きを変えるパーツ、青は万華鏡の筒
- うまくさせない → 目元に合う形の黄色いパーツで、筒を顔に当てて支える
- いつ落ちてくるか分からない → 子ども自身が赤いレバーを握り、さすタイミングを自分で決める
- 先端が見えて怖い → 緑のパーツで目薬の先端を視線の中心から外す(白目側に落としたほうが怖さや刺激が和らぐという、8月の専門家アドバイスでの助言を受けた工夫)
黄色いパーツは取り外して拭くことができ、向きを変えれば左右どちらの目にも使えます。
「真上を向くと光る」万華鏡
製作の途中で、堀米さんは二つの問題に気づきました。一つは、最初に作ったビーズ式の万華鏡では、真上に向けるとビーズが底にたまり、模様が止まってしまうこと。もう一つは、のぞいたままでは、自分が真上を向いているかどうかが分からないことです。
この二つを逆手にとったのが、傾きセンサーとフルカラーLEDを組み込んだ万華鏡です。ふつうの万華鏡は動かすと模様が変わりますが、「めぐすりするん」は正しい角度で止まると模様が動きます。水平のうちは光らず、顔を上げていくと光りはじめ、真上でいちばん明るく輝きます。光は、真上を向いたことを知る手がかりであり、点眼の合図にもなります。

筒の傾きに応じて、万華鏡の明るさが変わる
万華鏡の鏡は、6種類のカートリッジから選んで入れ替えられます。鏡の裏の塗装を削って線を描けば、その線から光が透け、自分だけの模様も作れます。親子で模様を作ることも、目薬の時間を楽しみに変える仕掛けの一つです。
使い方は、はじめは親子で一緒にレバーを握り、慣れたら子ども一人でさすことを想定しています。目指しているのは、補助具がいらなくなったあとも、万華鏡として、親子の成長の思い出としてそばに残る道具です。
紙の模型から、動く試作へ
堀米さんは、芸術専門学群の授業「デザイン基礎演習1」(担当:内山俊朗准教授)の課題の一環として、このコンテストに応募しました。6月に応募した時点では、試作は紙の模型でした。一次審査を通過したあとは、内山准教授の個別指導を受けながら、夏休みの多くを大学で過ごし、初めて触れる3D CADで部品を設計して、3Dプリンターで試作を重ねました。最終審査会では、実際に光る試作機を手に発表しました。
審査委員長からは、紙の模型から3Dプリンターによる試作へと発展させた点に評価の言葉があり、自分で模様を作れる工夫にも関心が寄せられました。
指導学生が3年連続でダブル受賞
内山准教授の指導学生がこのコンテストに初めて応募したのは、2024年の第5回でした。大学院 デザイン学学位プログラム(博士前期課程)1年の稲垣望美さんが、その最初の応募で優秀賞と協議会賞をダブル受賞しました。
翌2025年の第6回では、芸術専門学群1年の瀬上実桜さんが、同じく優秀賞と協議会賞をダブル受賞。そして今回、堀米さんが文部科学大臣賞と協議会賞を受賞し、指導学生のダブル受賞は3年連続となりました。
- 第5回(2024年) 稲垣望美さん(大学院 デザイン学学位プログラム 博士前期課程1年)優秀賞・特別賞(協議会賞)(記事)
- 第6回(2025年) 瀬上実桜さん(芸術専門学群1年)優秀賞・特別賞(協議会賞)(記事)
- 第7回(2026年) 堀米咲希さん(芸術専門学群1年)文部科学大臣賞(最優秀賞)・特別賞(協議会賞)
※所属・学年は受賞当時
昨年の瀬上さんに続き、今年も入学1年目の学生が、授業をきっかけに全国のコンテストで結果を残しました。
コンテスト概要
- 名称:第7回 医療創生アイデアコンテスト
- 主催:ふくしま医療機器開発支援センター
- 最終審査会:2026年10月2日(金)
- 会場:ビッグパレットふくしま(福島県郡山市・メディカルクリエーションふくしま2026 会場内)
- テーマ:このまちの医療・介護の“困った”をあなたはどう解決する?
- 応募:205件(うち6組が最終審査に進出)
- 後援:文部科学省、厚生労働省、経済産業省、福島県教育委員会、福島民報社、福島民友新聞社
- 公式ページ:https://fmddsc.jp/event/event-idea-contest7/
当日の受賞結果
以下は、2026年10月2日の表彰式での発表に基づきます。表記はエントリー名(学校名)、敬称略。
- 文部科学大臣賞(最優秀賞):堀米咲希(筑波大学)「めぐすりするん」
- 優秀賞:守永伊吹(日本大学第三高等学校)「Day Break ―明日も続けられる心を。―」
- 優秀賞:CST(国際情報工科自動車大学校)「スマートシューズ『おかえり』」
- 優秀賞:ピクトラボ☆(さいたま市立大宮国際中等教育学校)「PicMed」
- 特別賞(協議会賞):ピクトラボ☆「PicMed」、堀米咲希「めぐすりするん」(今回は2件)
- 入賞:まみどり(国士舘大学)「PreAid」
- 入賞:鉄門灯誓会(東京大学)「まっすぐさじ」









