「アブラカダブラ」 篠塚江里 2009年9月7日~2009年9月11日

展覧会「アブラカダブラ」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2009年9月7日~2009年9月11日
出展者:篠塚江里
(人間総合科学研究科 芸術専攻 博士課程前期2年)
シャーペンで描いた作品と、新作を中心に、
平面作品を展示致します。
T+review
私は、その強烈なインパクトに思わず眉をひそめた。作品のもつ独特な世界観が、ギャラリーの中に異質な空間を現出させている。私は多少たじろぎつつもギャラリーの扉を開けた。
外から見たときはただただ作品の凄まじいインパクトに圧倒されてしまったけれど、近づいてよく見てみると、そのディテールに驚かされる。どの作品も、細部の描写は圧巻で、息を呑まずにはいられない。また、近くで見るといろいろな発見があっておもしろい。中でも私が気になったのは、「目」の存在である。作品をそれぞれ隅まで見てみると、「目」が執拗に、繰り返し描かれていることが分かる。真っ先に気がつくのはギャラリーに入ってすぐ左手、展覧会名にもなっている《アブラカダブラ》に描かれているいくつもの目であるが、他にも気付かないような場所にこっそり描かれていたり、手芸用のものがコラージュされていたりする。私がそのことについて尋ねると、「他人の目、をすごく気にするようになっていたんです。」出展者の篠塚さんはそう言っていた。
「目」は人間の器官の中でもひときわ特別なものである。私たちは人の目を見て、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを推し量ったりする。おもしろいのは、作品に描かれている目と、私たちはほとんど目を合わせることができないことだ。それは見る者に一種の不快と恐怖を植えつける。(金沢みなみ)