第39回MC展

本展の「MC」とは修士課程を指す「Master’s program Course」の略称です。令和2年度以降は大学院再編により、新たに人間総合科学学術院 人間総合科学研究群 芸術学学位プログラム(博士前期課程)となりましたが、長年にわたり親しまれた「MC展」の名称を引き継いで展覧会を行っております。

この展覧会は「研究・制作発表特別演習Ⅰ,Ⅱ」の一環として、学生が主体となり計画から運営まで進めて参りました。

日頃の研究成果を発表し、自己の研究を客観的に分析することで、今後の制作に活かしていくことを目指しております。

ぜひご高覧いただき、忌憚のないご意見ご批評を賜りますようお願い申し上げます。

展覧会概要

会期:令和5年11月14日(火)〜11月19日(日)

開催時間:9:30〜17:00(最終日は14:00まで)

会場:茨城県つくば美術館

出品者

【洋画】12名

博士前期1年:鈴木健拓 、千種風香 、中武明日香、西原美萌、増田凜太朗

博士前期2年:勝間田万綾、曽木胡奈美、野口麟、能勢結、福田優香 、森山涼子、吉崎奈園

【日本画】8名

博士前期1年: 山形彩月 、野一色優美

博士前期2年:井上美沙、岡崎透子、河原井かれん、洪 綉婷、田村真優帆 、柘植省吾

【版画】1名

博士前期1年:久野龍之介

私たちは洋画の歴史や技術について学び、現代における絵画のひとつの在り方を模索しています。私たちのアイデンティティは何か。ありふれた出来事の中で、何を表現するのか。どのような色、線、形で表現するのか……。そうした思考の痕跡が何層にも重なり、平らな画面の中には現実と同じように奥行きのある世界が広がっています。各々が探求する絵画世界を、少しでも身近に感じていただければ幸いです。

We are studying the history and techniques of western painting and looking for one way of contemporary painting. What is our identity? What do we express in our life? What colors, lines, and shapes do we paint with…? We create a world of depth within a flat painting by thinking these thoughts again and again. We invite you to experience the world we express.

鈴木 健拓

SUZUKI Takehiro

博士前期課程1年

「家族(Family)」 162.0×162.0(cm)  綿布、パネル、 油彩

綿布のコラージュを表現に活かそうと試行錯誤しています。矩形でありながら、画面が収縮したり拡張していくような視覚効果を発揮したい。

「共想(Kyoso)」 162.0×130.3 (cm) 綿布、パネル、 アクリル・油彩

合宿中、一つの布団の上で昼寝をする様子から着想を得ました。

千種 風香

CHIKUSA Fuka

博士前期課程1年

「春の悪夢(Nightmare inSpring)」 220.0×220.0 (cm) 漆喰、顔料

フレスコ画の鮮やかな色彩をいかして制作しました。春にみる夢の、やさしさと怖さ、あたたかさと肌寒さを表現しました。

中武 明日香

NAKATAKE Asuka

博士前期課程1年

「藻掻き(Struggle)」 130.0×162.0   (cm)  キャンバス、油彩

「記録(Note)」 91.0×72.7 (cm) 木製パネル、アクリルガッシュ 

西原 美萌

NISHIHARA Miho

博士前期課程1年

「ありふれた日(A Mundane Day)」 162.0×130.3(cm) キャンバス、油彩

「虚空(void)」 194.0×130.3(cm) 綿布、パネル、油彩

増田 凜太郎

MASUDA Rintaro

博士前期課程1年

「秋に咲く(Blooming in autumn)」  130.3×162.0(cm) キャンバス、油彩

一ノ矢の農場がモデルです。

「うだうだうだ(Nonsense)」 162.0×130.3(cm) 水彩紙、アクリル 

シンプルでありたい。

勝間田 万綾

KATSUMATA Maaya

博士前期課程2年

「wrinkles and me」162.0×162.0 キャンバス、油彩

「i’ve had that dream before」162.0×130.3キャンバス、油彩

自分を守りすぎるがあまり、無意識にできる皺があると思います。皺と身体の関係を見て頂ければ幸いです。

曽木 胡奈美

SOKI Konami

博士前期課程2年

「かこんでかこんで(Surround and surround)」 194.0×242.3(cm) キャンバス、アクリル

イルカが描かれているので、見つけてみてください。

野口 麟

NOGUCHI Rin

博士前期課程2年

「Octopus」 194.0×194.0(cm) 木製パネル、アクリル・油彩

タコが包み込んでくれるような、苦しめているような、自分の中にいるタコを描きました。

能勢 結

NOSE Yui

博士前期課程2年

「Vis a vis 」 162.0×130.3 (cm) 91.0×116.0(cm) キャンバス、アクリル・油彩・木炭・オイルパステル
言語表現と描写表現が融合した作品を目指しています。言葉に言い表したこと、言葉にしなかったこと、描いたこと、描くことができなかったことなど、絵画でありながら文脈を探るような作品を試みました。

福田 優香

FUKUDA Yuka

博士前期課程2年

「美しい者は美しい夢をみる(Integrity beings can have beautiful dreams.)」 162.0×130.3(cm) パネル、紙、アクリル・鉛筆・色鉛筆
うつくしい夢をみるに足る人間になりたいと願えば願うほど、そこから遠ざかってしまうジレンマと戦っています。

森山 涼子

MORIYAMA Ryoko

博士前期課程2年

「The net drawing」 91.0×72.7(cm) パネル、アクリル、油彩、色鉛筆、石粉粘土、ガラス
瞬間的に変化する意識や情緒、記憶の揺らぎなどをキリスト教における祭壇画の形式を参考にドアを開放したような展開図的な作品を目指しました。

「ある女の祭壇画(The Altarpiece ofa Woman)」 162.0×194.0(cm) パネル、アクリル、油彩、色鉛筆、石粉粘土、ガラス
別世界へ行ける理想的な扉のような存在でもあるし、開放を渇望する心をいたずらに刺激する窓のような作品にしました。

「The net drawing」 116.7×91.0(cm) パネル、アクリル、油彩、色鉛筆、石粉粘土、ガラス
瞬間的に変化する意識や情緒、記憶の揺らぎなどをキリスト教における祭壇画の形式を参考にドアを開放したような展開図的な作品を目指しました。

吉崎 奈園

YOSHIZAKI Nasono

博士前期課程2年

「Moss wall」「energy」「waves 」162.0×194.0(cm) アクリル、ミクストメディア
フリルの持つゆらめきのある造形性を活かし、自然的なこころの動きを表現しました。全ての事柄が変化し続ける様を、視覚や触覚から感じていただけたら嬉しいです。

日本画では、鉱物を原料とした岩絵具、水干絵具、膠や箔などの
伝統的な材料を主に使用してきました。時代の変化とともに様々な
材料・技法がとり入れられ、新しい表現が模索され続けています。
私たちも日々の制作・研究を通して学び、考える中で、自分らしい
表現を追求しています。ここに展示された作品は、そのような制作・
研究の成果です。ご高覧・ご批評頂ければ幸いです。

Nihonga, a form of Japanese painting, employs traditional materials
such as iwa-enogu (crushed mineral pigments), suihi-enogu (mud
pigments), nikawa (animal glue) and haku (foil). An evolving art form,
Nihonga continues to incorporate various materials and techniques
as artists search for new forms of expression. Those of us studying
Nihonga today are dedicated to producing works of originality and
creativity, emphasizing the importance of independent thought and
research. The works displayed in this exhibition are the fruit of such
research.
Your kind review and criticism are greatly appreciated.

野一色 優美

NOISHIKI Yumi

博士前期課程1年

「その気に触れて(Touch that feeling)」 サイズ可変 高知麻紙、岩絵具、墨、胡粉、鉛筆、パステル、金泥、アルミ泥、糸

山形 彩月

YAMAGATA  Satsuki

博士前期課程1年

「みち(road)」 162.0×162.0(cm) 高知麻紙、水干絵具、岩絵具、水彩絵具

幼い頃に見えた世界の景色を、いつまでも忘れずにいたいと思っています。

井上 美沙

INOUE Misa

博士前期課程2年

「日記(diary)」 162.0×130.3(cm) 高知麻紙、水干絵具、岩絵具

私的で切実な日々の語りは、何に起因し、何に接続するのか。
日記的なアートの試みとしての作品。

岡﨑 透子

OKAZAKI  Toko

博士前期課程2年

「ending」 162.0×112.0(cm)  高知麻紙、水干絵具、岩絵具、アクリル絵具
日が暮れて家路に着くあのときの気持ちと、そのときに見た美しい風景を想起させることを目標に描きました。

「start」 162.0×112.0(cm) 高知麻紙、水干絵具、岩絵具、アクリル絵具
無機質な直線の中にも人間の営みがあります。それを感じてもらえたらと思います。

河原井 かれん

KAWARAI  Karen

博士前期課程2年

「行く末(to somewhere)」 182.0×91.0(cm)  雲肌麻紙、水干絵具、岩絵具、盛上材
どこへ行くのかな、と考えることがあります。

「徐に(No rush)」 194.0×194.0(cm)  雲肌麻紙、水干絵具、岩絵具、盛上材
体の大きな生き物の包容力を表現できていたら嬉しいです。彼らは急いで生きたくはない私のことも包んでくれそうです。

「来し方(from homeland)」 182.0×91.0(cm)  雲肌麻紙、水干絵具、岩絵具、盛上材
どこから来たのかな、と考えることがあります。

洪 綉婷

HUNG  Hsiuting

博士前期課程2年

「集まりの日(Gathering Day)」 130.3×162.0(cm) 高知麻紙、水干絵具、岩絵具
人々は特別な日に集まり、同じ目標のために努力し、そこから多くのエネルギーを感じることができる。

「幸せを呼ぶ(Call for Happiness)」 162.0×112.0(cm) 高知麻紙、水干絵具、岩絵具
生まれてきた子供の幸せを願って飾られる吊るし雛。鑑賞する皆さんにも幸せをもたらしますように。

田村 真優帆

TAMURA  Mayuho

博士前期課程2年

「おこた(okota)」 200.0×300.0(cm) 木材、高知麻紙、岩絵具、アクリル絵の具
皆さんがおこたのようにあったかくて、出るときには名残惜しいような空間だと感じてもらえたらいいなと思います。

柘植 省吾

TSUGE  Shogo

博士前期課程2年

「滞船(ships)」 162.0×260.6(cm) 高知麻紙、水干絵具、岩絵具、金属箔
船や港に散らばったモチーフの重なりで、錆びついた空間を表現しようと思った。

私は腐蝕銅版画について強い興味を持ち、多くの試みを行っている。
「偶然性」という言葉に納得がいかず、その材料や道具を自分の手足を使うように駆使したいと考え、何度も複雑な工程や様々な技法と戦っている。
頭の中にあるまだ見ぬイメージを描き出すために。
ご高覧いただければ幸いです。

I am interested in the corroded copperplate prints. And I test many
techniques in my work. I am not convinced by the word “accidental”. I
like to use the materials and tools of printmaking as if they were my
own limbs. So I try many complicated processes and various
techniques over and over again.
In order to create images that I have not yet seen in my mind.
I should be very grateful if you would have a look at this little effort
of mine.

久野 龍之介

KUNO Ryunosuke

博士前期課程1年

「大叔父(My granduncle) 」 60.0×45.5(cm) ヘリオスGA、腐蝕銅版画
静岡県で久々に会った大叔父(祖母の弟)を描いた。

「読書(Reading) 」「読書2(Reading 2) 」 60.0×45.5(cm) ヘリオスGA、腐蝕銅版画
ある展覧会で観た読書をする女性の油彩画に触発され、「読書」を主題として版画を制作した。

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