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菅井汲「赤い鬼」

作者生没:1919武庫郡御影町[神戸](兵庫) – 1996神戸(兵庫)
制作年:1955年
技法材質:リトグラフ
寸法:53.4×38.4cm
エディション:58/75
署名等:マージン左下にエディション番号「58/75」;  右下に署名「汲SuGaÏ」

展覧会歴:「茨城県近代美術館コレクション展+筑波大学所蔵 石井コレクション展」 茨城県つくば美術館 2007年10月5日-28日 cat. 15; 「紙上の技法学 筑波大学所蔵 石井コレクション」2012年1月7日-2月19日 武蔵野市立吉祥寺美術館 cat. 18;「まなびあテラス開館記念 筑波大学所蔵 石井コレクション展 美と出会う:[前期]絵の世界と出会う」、まなびあテラス[東根市美術館]、2016年11月3日〜12月11日、cat. 16。

文献:J.C. ランベール・滝沢恭司、中島徳博、宇佐美圭司『SUGAÏ: Catalogue raisonne de l’œuvre grave, 1955-96 』1996年 阿部出版 no. 1 《赤い鬼 Diable rouge》 col. ill. p. 34;寺門臨太郎編『筑波大学所蔵石井コレクション Ⅰ. 絵画』、筑波大学芸術学系、2011年、cat. 55。

所蔵番号:2005-JP-IS012

作品解説:
日本の神話的なイメージを思い起こさせる《赤い鬼》は、深紅の背景から浮かび上がる大きな角と牙とが観る者に強い圧迫感を与えるが、その簡潔な表現の中に東洋的なおもむきも感じとることができる。菅井は常に一億人からはみ出した日本人でありたいと考え、日本というアイデンティティを超えた一人の作家として、独自の創造を目指した。1952年に渡仏し、パリに住んだ菅井は、やがてクラヴェン画廊のすすめでリトグラフの制作を始める。その最初のものである本作品は、版画の技法の上では未熟な部分もあり、絵画による表現を超えられていない点で、まだ試みの域を脱していないものの、菅井の内面にある日本的感性をよく示している。