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桂ゆき「虎の威を借る狐」

作者生没:1913東京 – 1991東京
制作年:1956年
技法材質:リトグラフ
寸法:38.8×55.8cm
エディション:16/100
署名:左下にエディション番号「16/100」; 右下に署名「Y.Katsura」

展覧会歴:「茨城県近代美術館コレクション展+筑波大学所蔵 石井コレクション展」 茨城県つくば美術館 2007年10月5日-28日 cat. 14; 展覧会歴:「紙上の技法学 筑波大学所蔵 石井コレクション」2012年1月7日-2月19日 武蔵野市立吉祥寺美術館 cat. 26。

文献:寺門臨太郎編『筑波大学所蔵石井コレクション Ⅰ. 絵画』、筑波大学芸術学系、2011年、cat. 49;五十殿利治・江口みなみ編『石井コレクション研究5:桂ゆき・福島秀子』、筑波大学芸術系、2017年、col. pl. p. 9;関直子「桂ゆきの虎と狐をめぐって」、『石井コレクション研究5:桂ゆき・福島秀子』、2017年、11−29頁;五十殿利治監修、寺門臨太郎編『筑波大学アート・コレクション 石井コレクション 美をめぐる饗宴(シュンポシオン)』、筑波大学出版会、2021年、口絵8;関直子「桂ゆきの虎と狐をめぐって」『美をめぐる饗宴』、2021年、299−320頁。

所蔵番号:2005-JP-IS006

作品解説:
本作品にはその題名のとおり、第二次大戦後の世界情勢の中で、虎(アメリカ合衆国)の権勢を楯にして悪びれたふうもない狐(日本)のこっけいな姿が、赤、黒、黄の強い色彩対比で描かれている。グロテスクで巨大な顔の虎と、その背中にちょこんとすわる憎めない狐が好対照をなす。桂はこれに先立ち油彩作品《虎の威を借りた狐》(1955年、山口県立美術館蔵)を制作しており、本作品は彼女が手がけた油彩画にもとづく一連の自作リトグラフで最初のものである。占領軍の権勢を傘に着た日本政府と、現状に甘んじる国民をシニカルに表現したこのリトグラフは、攻撃的な主題であるために長い間買い手を見出すことがなかったとされる。