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村井正誠「顔」

作者生没:1905 大垣(岐阜)- 1999 東京
制作年:1988年
技法材質:油彩、カンヴァス
寸法:45.6 x 38.2 cm
署名・年記等:木枠裏面上辺に署名・年記「MAÇANARI 1988」; 同右辺上方に題名「顔」; 同下方に署名「正誠」

展覧会暦:「村井正誠展」 鎌倉画廊(東京・銀座)1988年10月31日-11月26日。

文献:寺門臨太郎編『筑波大学所蔵石井コレクション Ⅰ. 絵画』、筑波大学芸術学系、2011年、cat. 32。

所蔵番号:2010-JO-IS013

作品解説:
厚塗りの油絵具で描かれた本作には、黒く太い色帯で示された輪郭線の中に青、黄、白の肌と赤い右目、そして灰色の左目と鼻を認めることができる。「顔」という題のつけられる同主題の作品を、村井は1950年代半ばから特に好んで描いた。当初は顔の各部を具象的に描く作品が多かったのに対して、輪郭の中を一色に塗りつぶす、あるいは小さな四角形や円で埋め尽くすなどの抽象的な<顔>も、次第に描かれるようになる。1950年代から70年代の間、村井の描く「顔」には、具象と抽象の双方の表現が繰り返し出現する。本作は村井が1988年の鎌倉画廊(銀座)での個展に出品した3点の<顔>のうちのひとつであるが、同主題の作品としては、最も後期のものである。目や鼻の形象は残しつつも、画面をいくつかの大きな色面で大胆に分割する表現には、長年にわたる探究の成果が遺憾なく発揮されている。