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斎藤義重「無題」

作者生没:1904 弘前(青森) – 2001横浜(神奈川)
制作年:1961年
技法材質:油彩、合板
寸法:72.6×60.4cm
署名・年記等:裏面に署名・年記「Y.SAITO 1961[横書] 斎藤義重」[縦書]

展覧会歴:「茨城県近代美術館コレクション展+筑波大学所蔵 石井コレクション展」茨城県つくば美術館 2007年10月5日-28日cat. 4。

文献:寺門臨太郎編『筑波大学所蔵石井コレクション Ⅰ. 絵画』、筑波大学芸術学系、2011年、cat. 27。

所蔵番号:2005-JO-IS004

作品解説:
斎藤義重は日本の戦後美術を代表する前衛芸術家。16歳でロシア未来派の作品に強い衝撃を受けた彼は、絵画の既成概念に疑問を抱いて以降、第二次大戦をはさんで一貫して「反絵画」を志向した。1960年代からは、ドリルを用いたり合板を重ねたりするなど、凹凸によって生じる影や隙間を強調する作品を手がけるようになる。作り手の心情は一切排除して素材自体が訴えかけてくる表現力に注目し、制作の過程や行為自体を重視する姿勢は、他の作家にも大きな影響を与えた。本作でも齋藤は、自分の意のままに動くとは限らないドリルで合板表面に穴をうがち溝を刻み、さらに中央には分厚い筆痕を残している。深紅の彩りとあいまって観る者が目を見張るのは、「行為の痕跡」としての「もの」そのものが主張する力であろう。