株式会社マウンテンスタジオ

福永 真央さん/株式会社マウンテンスタジオ

福永真央さんは、映像を制作する株式会社マウンテンスタジオで働いています。学生時代にはガラス工芸を専門に学んでいました。

どのような映像を制作しているのですか。

CGや実写など幅広いジャンルの映像を制作しています。具体的には企業様のプロモーション映像や営業さんが持ち歩くサービスの説明動画、ゲームのオープニング映像などで使われるモーショングラフィックスを作っています。モーショングラフィックスはテレビ番組で流れるテロップとか、動くデザインみたいなイメージですね。

大学ではガラス工芸を専門にされていたんですよね。どうして映像デザインの分野で働こうと思われたのでしょうか。

ガラス作品の制作を仕事にすることも考えたのですが現実的ではなくて。ただ、モノを作る職業が良いなとは思っていました。あとは私自身が無機質、人工的なものに惹かれることがあって、CGは好きだったことから、今の職業に就きました。

CGについては全く触れたことがなかったのですが、先輩にサポートしていただきながら何とかやっています。

CGはソフトが難しく編集ソフトを使いこなせないと何も作れません。そういうところは素材を使いこなせないと作品が出来上がらない工芸に似ているなと思います。やっていることが全然違うのに共通しているのがおもしろいです。

学生時代に学んでいたことは現在どのように生きていますか。

ガラスそのものを生かすのは難しいですね。ただ、立体造形物を作っていたことで多少造形への理解はあって、それは仮想空間のCGの世界でも生かされているかなと思っています。

あと自然と人工のバランスのとり方は共通しているように感じます。ガラスは人工物ではありますが、熱を使って成形するという自然的な面もあります。自然と人工のバランスをすごく気にして作品を作っていました。

CGなどの映像は人工的ものですが、そこに自然的な要素を追加していきます。例えば画面上のアイテムを左から右に動かしたいという時に、とりあえずそのアニメーションを編集ソフトでつけると等速直線運動になります。物は絶対に等速直線運動で動かないので、摩擦がかかる自然の動きをこちらで設定しなくてはいけません。編集ソフトで制作した人工的な動きと自然に見えるように追加する動きのバランスを大切にしています。

なぜ学生時代はガラスを選んだのでしょうか。

2年の夏に受けたガラスの授業で、ガラスの展覧会に行くという課題がありまして、そこでガラスを使った作品を初めて見たことがきっかけです。すごく大きなガラスの塊で、まるでガラスで作られた彫刻作品のようでした。割れやすい、薄い、危険とか今まで日常的に抱いているガラスの印象の文脈の先に塊のガラスを見ると、ちょっと変な感じというか非日常感がありましたね。今まで日常的に触れている素材なのに、その素材を使った不思議な作品があって、すごく衝撃を受けたのを覚えています。

基本的に筑波大のガラス作品の制作は「キャスティング」と呼ばれる技法になっています。石膏の型にガラスの粒をいれて、それを電気釜で焼いて溶かして、冷まします。私は静かなイメージの作品が好きなので、落ち着いた作風にするために色は基本的には使わないようにしていました。学群時代は25㌢くらいの比較的大きなガラス作品を作っていて、院生になってからはコロコロと石ころのような形を作っていました。小さい作品の方が空間を上手く使えると思ったからです。

今後、ガラスを使ったオリジナルの作品を制作する予定はありますか。

はい。制作はまだできていませんが準備はしています。
家でできる範囲でちょっとずつ作品を作って将来的には小規模なギャラリー展示とかもできるといいなと思っています。まだまだやりたいこといっぱいで、終わらないです。

最後に後輩へメッセージをお願いします。

筑波大の強みは総合大学ということだと思うので、いろんな授業を受けてほしいです。芸術系も幅広くいろんな授業があって工芸もできる、絵もかける、立体造形も作れる、彫刻も作れる。あとは、芸術を飛び出して他学の授業受けても絶対マイナスにはならないので。

今自分がやりたいことやってほしいなって思います。将来のことを考えるのももちろんですが、考えずに突っ走った方が後の経験になるんじゃないかなと思ったりしました。

文・山田優芽(比較文化学類3年/筑波大学新聞記者)

福永真央さん

株式会社マウンテンスタジオ

2018年度 筑波大学芸術専門学群クラフトコース卒業
2020年度 筑波大学大学院人間総合科学研究科芸術専攻クラフト領域修了