「卒業式」 YUKA×kajumin(松添由夏、石田かずみ) 2013年3月25日~2013年3月29日

展覧会「卒業式」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2013年3月25日(月)~2013年3月29日(金)
   9:00~18:30(最終日は17:00まで)
出展者:YUKA×kajumin
    松添由夏(構成専攻ビジュアルデザイン領域4年)
    石田かずみ(構成専攻総合造形領域4年)

卒業する人、しない人、
みんなで祝おう卒業式!

アニメーション&インスタレーション

T+review

筑波大学で平成24年度の卒業式が行われた3月25日、T+ギャラリーで始まった展覧会。今年度の最後を飾ったその展覧会は、2人の卒業生による「卒業式」だ。
ギャラリーの中は、作者たちの世界観と遊び心が隅々にまで満ちていた。見る者の郷愁を誘うようなモチーフが随所にちりばめられている。例えば、ギャラリーの壁に沿って並ぶ机は、天板が木製で足が金属製の見慣れた机。小学校から大学に至るまで、教室にあるこの机に毎日のように座ってきた。その机にはめられた青いプラスチック製の引き出しには、小学校時代お世話になった人も多いだろう。ギャラリーの中央で流れているアニメーションに映っているのは、卒業式ではしゃぐセーラー服の女学生たち。これらは、作者だけでなく私たちが人生の節目で経験してきた数々の“卒業式”で別れを告げてきたモノたちだ。
このように、今までの“卒業式”が一度に押し寄せたような、それでいてなぜか統一感のある作者たちの世界が表現されている。
しかし、作者たちは単に自分たちの世界を表現しようとしているのだろうか。それだけではなく、“卒業”を観客と一緒に祝おうと、記憶に残そうとしているように感じられる。誰にでも親しみやすいモノを展示に使っていることに加え、入り口の先にある“受付”で卒業生はブローチを持って帰ることで、在校生は紙ふぶきを散らすことで展覧会に参加できるようになっているのだ。
受付のすぐ隣の壁には、作者たちからのこんな言葉が記されていた。

「そして今日は、その学び舎から旅立つ日。
 辛いとき支えとなった仲間たち、
 楽しさを分かち合った仲間たち。
 彼らと分かれ、新たな道へと
 あなたは旅立ちます。」

 大学の卒業式が、最後の「学び舎から旅立つ日」になる人も少なくないだろう。これまで育ってきた、小学校、中学校、高校、大学という学び舎。大学の卒業という節目に立つ作者たちが、それらのすべてを振り返り、愛おしんでいるような気持ちが感じられる展示だった。(岡野恵未子)

卒業式DMura400x270