「#1」 岩崎薫、安中仁美 2009年2月23日~2009年2月26日

展覧会「#1」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2009年2月23日~2009年2月26日
出展者:岩崎薫(洋画専攻2年)、安中仁美(洋画専攻2年)

教授から互いを見習えといわれた両極端な二人が自分に足りないものを収得するためにも互いの絵を見つめて制作した成長過程にあたる作品の展覧会。
制作活動の心髄である模索と挑戦をより意識した作品で構成されており、多様な作風に試みている。

T+review

ギャラリーの扉を開けるとちょっと古い、実家の納屋に入ったような懐かしい感じのするあの油絵の具独特の香り。2/23(月)から2/26(木)まであった洋画2年の岩崎薫さんと安中仁美さんの展覧会「#1」は、油絵の二人展だった。
扉の横にはかわいらしい二つのタイプのしおり。どうやらこれがDMにもなっているようだ。しかも二つあわせると一つの絵になる。もちろん二種類とも貰ってしまった。
壁に目を移すと、目をひく大きなものから、部屋にちょっと飾るくらいにちいさいものまで、いろいろなサイズの作品が掛けられ並べられている。ぐるりと簡単にギャラリー内を見回しただけでは、岩崎さんの作品なのか安中さんの作品なのか、まったく見分けがつかない。たしか二人展だったはず・・・、とちょっと混乱してしまう。カラフルな作品、色数が少なく見える作品、風景画、人物画、直線的な作品、曲線的な作品、構成的要素を持った作品などなど。サイズだけでなく、描いてある内容まで本当に様々。まるで全部違う人が描いているのか、という気にさえなってしまう。『教授から互いを見習えといわれた両極端な二人が自分に足りないものを収得するためにも互いの絵を見つめて制作した成長過程にあたる作品の展覧会。制作活動の心髄である模索と挑戦をより意識した作品で構成されており、多様な作風に試みている。』こういうふうに展覧会概要にはあるが、まさにその通り。レビューなのに出展者の言葉を引用してしまったが、いろんなことに挑戦してみようという二人の意気込みが作品から伝わってくる。
 ひとつひとつじっくり見ていくと、一見バラバラに見える作品群の中に、二人の特徴がなんとなく見えてくる。岩崎さんの中には、なんだかちょっとシュールな子供の遊びのようなイメージ、安中さんの中には、ミレーの絵の中にいる様な温かい静けさのイメージが見えてきた。まことに勝手な私個人のイメージであるが。
 二人展でこんなにたくさんの作風を見るのは私にとっては初めてのことで、とても新鮮な展覧会だった。まだまだ様々なことを試してみたい、という成長過程の人特有の、そういった人にしか作り出せない空間が作り出されていたと思う。もっといろんな作風を見たいと思わせるのと同時に、二人が最終的にどんな絵を描くようになるのかが知りたくなる、「この先」が実に気になる展示だった。
(藤田渚)