「幻想展」加藤空、他 2016年6月13日~6月17日

展覧会「幻想展」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2016年6月13日(月)~2016年6月17日(金)
出展者:加藤空(日本画コース2年)
    高橋友里奈(日本画コース2年)

幻想が向ふから迫つてくるときは 
もうにんげんの壊れるときだ
(宮沢賢治、「春と修羅」より)


T+review

「幻想が向ふから迫つてくるときはもうにんげんの壊れるときだ」
宮沢賢治の「春と修羅」より。

 「幻想」それはたしかに人間が想うものだが、幻の想いである。目には見えない、しかし確かにあったことを何が証明できようか。言葉、そしてそれから絵だ。小説の一節とそこから想起されるイメージを描いた展示。空想が言葉になり、言葉が絵になり、絵がイメージとして人々に訴えかける。イメージはより具体化していくのに対し、小説が作り話だとしたらそれを描いた絵はさらに幻想の度合いを高めていることが面白い。人は目には見えないものを追いかける性分があるのと同時に、芸術家にはそれを視覚化したい思いもある。終わらないからである。目に見えるようになっても、私たちはまたそこから何かしらのイメージを受け取る。そしてまた空想にふける。そうすると芸術は人間の幻想を促す一部でしかないのかもしれない。吐き出そうとしているはずなのに、吐き出したものから飲み込んでまた私たちは幻想の世界にはまってしまう。
 「幻想が向ふから迫つてくるときはもうにんげんの壊れるときだ」
迫り来るイメージに圧倒されながら、頭の隅でその言葉がぼんやり響いた。(古屋花子)

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