「Story」 青野広夢 2012年2月6日~2012年2月10日
展覧会「Story」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2012年2月6日~2012年2月10日
出展者:青野広夢(芸術専門学群洋画3年)
会場:アートギャラリーT+
会期:2012年2月6日~2012年2月10日
出展者:青野広夢(芸術専門学群洋画3年)
「あなたの心から始まる小さな物語」パステル画の展示
T+review
暗幕で覆われた展示室の中。静かに扉を開ければ、そこにはやわらかなパステル画面の世界に住む動物たちがいた。
静かな宇宙空間の中、衝突してきたであろう隕石を背景に、月面のような場所で一つの石を拾うツキノワグマ。『今 僕がすべきこと』
だるそうに自分の手に顎を載せて玉座に伏せ、尻尾で王冠を持て余すライオン。『私が手に入れたもの』
青空の中、一番高くにある雲まで首をのばす青いキリン。『欲しいものがあるの』動物たちは細かく描写されているのに、リアルなどうぶつ、という感覚は生まれてこない。
それは、みんなそれぞれに、意思があるように感じるからだろう。
作品を前にすると、彼らとまるで一対一の対話をしているようだった。
動物たちは、自らの物語をかたりかけてくる。「ぼくはこうなんだけど、君はどうするの?」
その物語の内容は、鑑賞者によってひとりひとり違う。
自分だけの絵本の世界に飛び込んだような、そんな空間だった。
タイトルと合わせて作品からは、詩のようにメッセージがじんわりと沁みてくる。
どこか、自分の生き方について考えさせられるような奥深さももっていた。展示室を出た後、自分の心の奥底の世界に行けたような、
それがかわいらしい世界だったから素直に自分の心と向き合えたような、そんな気がした。
また、自分だけの物語が自分にどう語りかけてくるのか、もう一度この世界に来たいと思った。
そして今も、あの動物たちは私の心にそれぞれの世界で生き続けている。
彼らとまた対話できる日が来るまで、私も彼らとともに生き続けてゆく。(池田寛子)