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「ちゃんと自律します」 渡辺のり子 2009年4月13日~2009年4月14日

展覧会「ちゃんと自律します」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2009年4月13日~2009年4月14日
出展者:渡辺のり子(構成専攻2年)

最近なんか全体的に堕落してきたので、そろそろ自分のことは自分で管理しなきゃなーと思いました。
管理の意味は管轄・運営または処理や補修をする事らしいです。なかなか大変ですね!
…やっぱやめよっかな(笑)

T+review

 掌に納まりそうなサイズの箱たちが、ギャラリーの壁面に1本の横線を描いている。それぞれの箱の中には、それぞれに異なる世界。そんな展示空間に入った者たちは、作者の目線の高さに設置されたと思われる箱の中を1つ1つ、蟹のように横歩きをしながら眺めていた。
箱の中に広がる情景はそれ単体で完結しており、一貫性はない。ある箱には映画館が、またある箱には工場が、異なる色や素材で表現されており、それらの下に1つ1つ取り付けられたキャプションの番号もバラバラだ。「個人的」と言えそうなその空間を、見る者は自身の感覚や経験と照らし合わせることによって作者の中の世界に入り込む。そして、全ての作品を見終わった瞬間、見る者の前に広がるのは「個人的な空間」とは真逆であるギャラリーの外の風景、すなわち「一般的な世界」である。その瞬間、日常で溢れる世界に投げ出された彼らは自分にとっての「自律」の意味を自問する。
ホワイトキューブの中にまたキューブが立ち並ぶ空間はどこか病院のような神経質さを漂わせ、展覧会名である「ちゃんと自律します」という決意ともとれる言葉の中に潜む気だるさとは相反するものであるようだ。しかし、その静かな空間の中で、作者は自身の感覚を再確認するために1つ1つ作り出した世界へ、同じ感覚器官をもちながら異なる感性や感情をもつ他者を、ゆっくりと誘おうとしていたのかもしれない。(原口寛子)


「#1」 岩崎薫、安中仁美 2009年2月23日~2009年2月26日

展覧会「#1」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2009年2月23日~2009年2月26日
出展者:岩崎薫(洋画専攻2年)、安中仁美(洋画専攻2年)

教授から互いを見習えといわれた両極端な二人が自分に足りないものを収得するためにも互いの絵を見つめて制作した成長過程にあたる作品の展覧会。
制作活動の心髄である模索と挑戦をより意識した作品で構成されており、多様な作風に試みている。

T+review

ギャラリーの扉を開けるとちょっと古い、実家の納屋に入ったような懐かしい感じのするあの油絵の具独特の香り。2/23(月)から2/26(木)まであった洋画2年の岩崎薫さんと安中仁美さんの展覧会「#1」は、油絵の二人展だった。
扉の横にはかわいらしい二つのタイプのしおり。どうやらこれがDMにもなっているようだ。しかも二つあわせると一つの絵になる。もちろん二種類とも貰ってしまった。
壁に目を移すと、目をひく大きなものから、部屋にちょっと飾るくらいにちいさいものまで、いろいろなサイズの作品が掛けられ並べられている。ぐるりと簡単にギャラリー内を見回しただけでは、岩崎さんの作品なのか安中さんの作品なのか、まったく見分けがつかない。たしか二人展だったはず・・・、とちょっと混乱してしまう。カラフルな作品、色数が少なく見える作品、風景画、人物画、直線的な作品、曲線的な作品、構成的要素を持った作品などなど。サイズだけでなく、描いてある内容まで本当に様々。まるで全部違う人が描いているのか、という気にさえなってしまう。『教授から互いを見習えといわれた両極端な二人が自分に足りないものを収得するためにも互いの絵を見つめて制作した成長過程にあたる作品の展覧会。制作活動の心髄である模索と挑戦をより意識した作品で構成されており、多様な作風に試みている。』こういうふうに展覧会概要にはあるが、まさにその通り。レビューなのに出展者の言葉を引用してしまったが、いろんなことに挑戦してみようという二人の意気込みが作品から伝わってくる。
 ひとつひとつじっくり見ていくと、一見バラバラに見える作品群の中に、二人の特徴がなんとなく見えてくる。岩崎さんの中には、なんだかちょっとシュールな子供の遊びのようなイメージ、安中さんの中には、ミレーの絵の中にいる様な温かい静けさのイメージが見えてきた。まことに勝手な私個人のイメージであるが。
 二人展でこんなにたくさんの作風を見るのは私にとっては初めてのことで、とても新鮮な展覧会だった。まだまだ様々なことを試してみたい、という成長過程の人特有の、そういった人にしか作り出せない空間が作り出されていたと思う。もっといろんな作風を見たいと思わせるのと同時に、二人が最終的にどんな絵を描くようになるのかが知りたくなる、「この先」が実に気になる展示だった。
(藤田渚)