「Open Curtain」 平野春菜 2011年11月21日~2011年11月25日
会場:アートギャラリーT+
会期:2011年11月21日~2011年11月25日
出展者:平野春菜(芸術専門学群構成専攻総合造形領域3年)
行為の展示
行為の展示
アートギャラリーT+は、筑波大学の芸術の学生、教職員の制作の発表の場として設けられ、毎週個性溢れる展示が行われています。T+のスタッフはギャラリーの管理だけでなく、筑波大の芸術を内外に発信しようと様々な活動を行っており、卒業生へのインタビューも大事な活動のひとつと位置付けています。2010年8月に、総合造形領域のOBであり、国内外で活躍するタムラサトル氏を訪ねてインタビューをしたことがきっかけとなり、今回母校で初となる展覧会が実現しました。ここアートギャラリーT+でしか成立し得ない「6A214のための接点」、どうぞお楽しみください。
■トークイベント
開催日時:11月10日(木)18:15~
会場:6A208
入場無料
ゲスト:タムラサトル、小田井真美(アーカスプロジェクトディレクター)、ヴォイチェフ・ギレヴィチュ(2011年度アーカスプロジェクトレジデンスアーティスト)
展示作品、アーカススタジオ、そして現在のアートシーンについて語ります。
写真の展示
T+review
ギャラリーに入ると、柔らかい光に照らされた沢山の写真たちが並んでいる。縦横の列や並びなどは関係なしに並んだ写真は、展示空間全体に動きを生み、いきいきとした印象を与えている。散り散りになっているこれらの写真は、浮かんでは消える頭の中のイメージのようである。「恋人」と聞いたときの心の様子を表しているのかもしれない。
作者はこの展示で、恋人の存在を示そうとしているわけではないだろうし、観る側にとってもそのような印象は受けない。感じるのは、写真という形で切り取られて作品群となった、「恋人」に関する多様なイメージ。そして彼に対する、幸せで、強い作者の気持ちである。作者は、恋人について浮かぶものを切り取り、カメラで時間を止めて作品としていく過程で、自分も恋人のことを再認識したかったのだろうか。
写真に写っているのは、恋人との生活の点景である。彼が写っているものあるし、風景の一部の写真もある。そしてカメラを覗く目線は常に彼女のもので、恋人をやさしく見つめているような視点や、彼と過ごしているときにぱっと見上げたような視点で撮られた木々などにより、彼女の存在を感じとれる。まるで自分が作者になったような気分になる。
自分の恋人を作品にすることは、もしかしたら勇気のいる行為だったかもしれない。主観が入りすぎてしまったり、見せ方が難しい部分もありそうだ。しかし、思い切って恋人のことを表現したこの展示は、その表現を肖像など、恋人を直接的に写すもののみに制限していないためしつこくなく、観る側にためらいを与えることもない。素直に作者の、「恋人のイメージ」が再現された展示だった。(岡野恵未子)