「Trip & Gift」窪田千莉 2016年8月22日~8月26日
会場:アートギャラリーT+
会期:2016年8月22日(月)~8月26日(金)
出展者:窪田千莉(構成専攻ビジュアルデザイン領域 3年)
私の好きなこと:旅をすること、食べること、プレゼントをもらった人の笑顔を見ること。
私の苦手なこと:新宿で待ち合わせをすること。
この夏旅行したあなたもまだのあなたもしないあなたも、きっと旅をした気持ちになれる展示です。
T+review
旅先で土産物を見て回る瞬間とは、その旅で自分が見たもの、体験したもの、得たものを振り返る瞬間であると同時に、故郷にいる家族や友人、すなわちその土産を渡す相手に想いを馳せる瞬間でもある。この『Trip & Gift』は、作者の旅への純粋な想いが歪みなく伝わってくる展示であった。また、鑑賞者にそれぞれの故郷への想いを思い出させるものだった。
展示作品は、日本の都道府県各地の特産品をモチーフに作者自身がオリジナルで各地方の土産物をデザインしたものだ。東日本の瓶詰めジャム、暖かい地方の紅茶、スウィーツ…。目にしただけで甘味が口内に広がるような鮮やかな色合いの瓶やパッケージはいかにも各都道府県から集めた特産土産のようで、思わず自分の出身県のものがないか探してしまう。そしてその時、鑑賞者は自らの地元に想いを馳せる。自分の故郷の特産品は何か、懐かしい場所はどこか、どんな人達と共に住み暮らしていたか。本展示は、作者の旅への想いや土産の楽しみを表したものだが、鑑賞者の立場から見たときにそれは鑑賞者一人一人の故郷に対する想いへと移り変わって伝わったのではないか。このような、作者の純粋な感情が具体的な形となって表されたとき、鑑賞者に少し異なる、またはさらに深い意味を持たせる結果となる展示は非常に面白みがあるように思う。
土産とは、作品タイトルに「Gift」とあるように、贈り物である。もちろん自分の思い出として自分用に買うものも土産だが、家族や友人を思って買うそれは確かに「贈り物」だ。人のためだからこそ、どんなものを贈ったら喜ばれるか、何がふさわしいか考える。作者自身も土産を選ぶのが好きだと書いているから、この作品を作るにあたって自分ならどんな土産を贈りたいか、また贈られたら嬉しいかを考えながら制作したことだろう。人に物をプレゼントすることに対しては何かと並ならぬ拘りを持ってしまう筆者であるが、この作品のような特産土産が土産物屋に並んでいたら、きっと手にとってしまいそうだ。(山崎祥香)
