「0/4≠0」 久保沙織、小熊かおり 2010年1月4日~2010年1月8日

展覧会「0/4≠0」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2010年1月4日~2010年1月8日
出展者:
久保沙織 (芸術専門学群3年)
小熊かおり (芸術専門学群2年)

0/4 だけど、あとにのこるのは 0 じゃない。

T+review

私・展示者の2人・そして来場者の大多数は筑波大学生であって、世間から見れば「青春真っ盛り」な年頃だ。しかし、青春とは後になって顧みるものであり、他者から青春してるね、なんて言われてもその中にいる者には実感の湧かない、儚いものなのである。

本展覧会である『0/4≠0』は青春をテーマにしたものだ。4人の高校生が登場し、それぞれが恋をするが、実らない。失恋はしても恋をした経験は決してゼロではない、という展示者のメッセージが込められており、それは展覧会名からも伺える。

甘酸っぱく、しかしほろ苦い恋の物語。それらの様子はギャラリーの天井から4列に吊るされた1列約15枚に及ぶイラストや文字で語られる。主人公の表情や視線の切り取り方はまるで写真のようだ。そして、文字は物語の語り部のようなものではなく、会話と心情が詰まったドラマのように見えた。各列の構成はイラストのみ、文字のみとどちらかの表現でしか表されていない。見る者はゆっくりと横歩きをしながらそれらの恋の行方を眺めていた。

自分が高校生であった頃の恋愛を思い出してみる。すると、色々な出来事があったはずなのに、頭の中では写真、しかもピントのずれた画像のようなものしか残っていない。交わした会話も無論全てではなく、断片的なものしか思い出せない。

「理解」ではなく、眺め、「受け入れ」させるような表現・展示が為されたそれぞれの恋、青春。大学生である私たちの通過点である「高校生時代」、それはあたかも他人ように客観視できるものであると同時に、燻るように、焦げ跡のように心のどこかに残る出来事なのだろう。残るものは確かにゼロではない、「≠0」なのだ。

(原口寛子)

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