「”Daily waves”」中三川澪 2016年8月29日~9月2日

「”Daily waves”」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2016年8月29日(月)~9月2日(金)
出展者:中三川澪(芸術専攻洋画領域 博士前期課程2年)

絵画作品の展示


T+review

 仄かな光を感じさせる絵画が作り出す空間は、明け方、太陽が登りきる前の静謐な時間を感じる。紺とも言い難い抑えられた青は夜明けの空色のようだ。その青で描かれたカーテンは、まばたきをすると早朝目覚めてしまい外を確認しようとカーテンの隙間に目をやる瞬間を思い起こさせる。独特の筆を引っ張ったような筆跡は、写真と絵画の間を行き来している。写真から描いたであろうバルーンとわざとボヤかせたような画面。どちらからも作者のリアリティを感じる。古典絵画は薄い絵具を塗り重ね層を作ることで重厚感を出すが、この作者の作品は一層の中で混ざりあった絵具を感じる。それは現代の軽薄さ・混沌さを端的に表すようにも、儚さを描き出しているようにも見える。
 「日々の波」と展示名は直訳できる。日々の中にあるのは作者の確かな時間である。それは写真のように瞬間的なものも、捉えられないような速さのものもあるだろう。揺蕩うような時間の中で過ぎ去っていくものたちを静かに見つめた作品群が、そこにはあった。(古屋花子)

horizon(小)