「anotehr side」手嶋瞳2016年1月7日~1月8日

展覧会「another side」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2016年1月7日~8日
出展者:手嶋瞳(人間総合科学研究科 MC2年)

筑波大学の大学院で制作をした絵画作品を展示します。

T+review

 心象風景といった趣の作品である。風変わりな形の建物や、果物や野菜など様々なものが描かれているが、どこか寂しげなのは、多分ひとけが全然ないからである。よくみると、時計や横断歩道のようなものや、蒸気機関車に標識、車、靴、工場、さらにサーカス小屋や観覧車など、人工物がたくさん描き込まれているのだけれど、人っ子ひとりいないので、それぞれのモチーフの大きさがちぐはぐなのも相まって、シュルレアリスム的な世界になっている。
2つの作品に共通しているのは、非常に平面的な画面構成であるということである。この平面的な表現が作品の大きな特徴であると思う。広い空間の中に、モチーフが手前に奥にと配置されているというよりは、平らなボードの上に、紙にかいた絵を一つ一つ重ねながら置いていったようである。地面の部分はなんとなくパースがきいているような感じもするが、すぐ横に描かれた張り紙のようなものによって意図的に空間がつぶされている。ちょっとだまし絵的でもある。
 また、両作品の中で目を引くのは、金色の絵の具によってかかれた、外国語の文章やまるで額縁の飾り模様のような蔦である。文章のほうは、画面の様々なところに、”The early bird caches a worm.”だとか、”THE TREES FRUITED EARLY THIS YEAR”だとか、”There will always be a tide, a moon, a sun, the stars, a season”などと盛り上がった絵の具で小さく書かれている。それぞれ訳してみると、「早起きは三文の徳。」「今年、木々は早くに実をつけた」「潮の満ち引きや、月、太陽、星、季節はいつもある。」といった感じになると思われるが、これらの言葉が作品とどのように関係しているかはよく分からない。「早起きは……」と「今年、木々は早くに……」の二つの文章については、「新年になってから一番にギャラリーに展示したという意味でこの文章を使ったのだろうか。」とも思ったけれども、考え過ぎかもしれない。(市川太也)

 

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