「いすにすわっている」 関川航平 2012年6月11日~2012年6月15日

展覧会「いすにすわっている」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2012年6月11日~2012年6月15日
出展者:関川航平(美術専攻特別カリキュラム版画 4年)

T+review

 「椅子に座る」
 この動作は、私たちが何気なく毎日毎日繰り返し行っているものだ。
その目的は、休むためであったり、授業を聞くためであったり、食事をするためであったり。
結局は何かの目的のためにしているし、はたから見ても大抵はなぜそこにその人が座っているのかが分かる。

 では、なぜあの人たちは
ギャラリーの中、まるで教室のように並べられた椅子に
座っているのだろうか。

 彼らの目の前には先生もいないし黒板もないしテーブルもない。
横の白い壁には、「いす に すわって  いる」と黒いビニールテープで大きく書かれている。
まさにその通りだ。彼らはイスに座っている。

 自分も毎日行っているその日常的な動作”そのもの”を意識するだけで、
何か異様な光景に見えてきてしまう。

 彼らは、「いすにすわる」ことを目的としている。

 動作と目的が一致したとたん、身近な動作が異空間を生み出していた。
しかし彼らは時々動くし、稀に読書をしている人もいる。
ピシッと座る人もいれば、ダランと座る人もいる。
一週間の展示期間のうち一人しか座っていない時もあれば、たくさんの人が座っている時もある。
この変化はごくごく日常的なもので、教室の中と同じ、身近な風景だ。

でも何かがおかしい。

そう、彼らは「いすにすわる」ためにそこに存在しているのだった。