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トリスタン・ツァラ『反頭脳』

 

トリスタン・ツァラ 『反頭脳』
作者生没:1896 モイネシュティ(ルーマニア) – 1963 パリ(フランス)
制作年:1949年
出版社:ボルダス社(パリ)
限定200部のうち49番(各巻の扉に限定番号と画家の自筆署名)

備考:マックス・エルンスト、イヴ・タンギー、ジョアン・ミロによるエッチング挿画23枚入りの合本散文詩集(3巻本)。

マックス・エルンスト《反哲学者Aa氏》 

イヴ・タンギー《巨人たちの真夜中》

ジョアン・ミロ《デゼスペラント》

 

展覧会歴:「まなびあテラス開館記念 筑波大学所蔵 石井コレクション展 美と出会う:[前期]絵の世界と出会う」、まなびあテラス[東根市美術館]、2016年11月3日〜12月11日、cat. 32a;「石井コレクション特集展示 シュルレアリスム断章−トリスタン・ツァラ『反頭脳』と三人の画家」、筑波大学大学会館アートスペース、2019年7月2日−7月22日、cat. 1a−c

文献:寺門臨太郎編『筑波大学所蔵石井コレクション Ⅰ. 絵画』、筑波大学芸術学系、2011年、cat. 2-a, 2-b, 2-c; 寺門臨太郎編『石井コレクション研究7:トリスタン・ツァラ『反頭脳』』、筑波大学芸術系、2020年、ill. p. 9, col. ills. pp. 10-15;塚原史「DADAからAAへ−ツァラの軌跡と『反頭脳』のハイブリッドな探究」、『石井コレクション研究7:トリスタン・ツァラ『反頭脳』』、2020年、17−35頁;村上博哉「ツァラとミロ—芸術の幼年期」、『石井コレクション研究7:トリスタン・ツァラ『反頭脳』』、2010年、37–58;副田一穂「マックス・エルンストとスタンリー・ウィリアム・ヘイター−擬態としての版画」、『石井コレクション研究7:トリスタン・ツァラ『反頭脳』』、2010年、59−74頁。

所蔵番号:2008-FP-IS002

 

解説:
1933年、詩人ツァラはチューリヒ・ダダが誕生した1916年から「革命的作家芸術家協会」に加わった32年にいたるまでに発表していた自作の散文詩を集め、パブロ・ピカソによる挿絵を収めたアンソロジー『反頭脳』をカイエ・リーブル社から出版した。それは、16から1215の番号入りの1200部のほか、ピカソ自身が刷ったオリジナル口絵を加えた1から15の番号入り特別版15部と非売品3部の計1218部だった。それから16年後、マックス・エルンスト、ジョアン・ミロ、イヴ・タンギーのオリジナル銅版画挿絵を収めた限定200部の新版がボルダス社から上梓された(1946年6月24日付のミロ宛ツァラ書簡によれば、当初構想では300部*)。200部のうち31部は銅版画と手彩色による豪華版で、うち8部は和紙に、23部はVan Gelder Hollandの洋紙に刷られた。「49」の番号が振られた本学所蔵のセットは、Auverge Richard-de-Basの洋紙に刷られた169部のひとつである。

*Quoted: William Jeffett, “‘L’Antitête’: The Book as Object in the Collaboration of Tristan Tzara and Joan Miró (1946–47)”, The Burlington Magazine, vol. 135, no. 1079, 1993, p. 89;フランソワ・ビュオ著、塚原史/後藤美和子訳『トリスタン・ツァラ:ダダの革命を起こした男』2013年、思潮社、299頁。