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イヴ・タンギー「巨人たちの真夜中」

 

 

 

作者生没:1900 パリ(フランス) – 1955 ウッドバリー(米国)
技法材質:エッチング
寸法:14.0 x 11.0 cm(シート); 9.5 x 6.7 cm(プレート・マーク)
展覧会歴:「まなびあテラス開館記念 筑波大学所蔵 石井コレクション展 美と出会う:[前期]絵の世界と出会う」、まなびあテラス[東根市美術館]、2016年11月3日〜12月11日、cat. 32c。

文献:YVES TANGUY. DAS druckgraphische Werk [exhibition catalogue], Wolfgang Wittrock Kunsthandel, Dusseldorf, April – May, 1976, nos.17A-17G;寺門臨太郎編『筑波大学所蔵石井コレクション Ⅰ. 絵画』、筑波大学芸術学系、2011年、cat. 2-b; 寺門臨太郎編『石井コレクション研究7:トリスタン・ツァラ『反頭脳』』、筑波大学芸術系、2020年、col. ills. pp. 12-13;塚原史「DADAからAAへ−ツァラの軌跡と『反頭脳』のハイブリッドな探究」、『石井コレクション研究7:トリスタン・ツァラ『反頭脳』』、2020年、17−35頁。

備考:7点。トリスタン・ツァラ『反頭脳』(1949年 パリ、ボルダス社刊)のエッチング挿絵。

トリスタン・ツァラ 『反頭脳』
作者生没:1896 モイネシュティ(ルーマニア) – 1963 パリ(フランス)
制作年:1949年
出版社:ボルダス社(パリ)
備考:マックス・エルンスト、イヴ・タンギー、ジョアン・ミロによるエッチング挿画23枚入りの合本散文詩集(3巻本)。限定200部のうち49番(各巻扉にノンブル)。

所蔵番号:2008-FP-IS002

 

解説:
1933年、詩人ツァラは16年から32年にかけて発表していた自作を集めたアンソロジー『反頭脳』をパブロ・ピカソの挿絵によって出版していた。それから16年後、マックス・エルンスト、イヴ・タンギーとジョアン・ミロのエッチングによる限定200部の新版を三分冊で刊行した。ダダイストとしてのツァラが表現されている「反哲学者Aa氏」、ダダからシュルレアリスムへの過渡期を示す「巨人たちの真夜中」、そしてシュルレアリストのオートマチズムによる「デゼスペラント(絶望する者)」のそれぞれに対して、エルンスト、タンギー、ミロが挿絵を寄せた。中でも、ミロの挿絵では、明瞭な色で月や星の形象が彩られ、ツァラの本文の制約を受けずに明るく自在な想像力が広がっていることで、むしろ真の意味での詩人と画家の共作となり得ている。