「会いたい」瀧本泰士、他 2014年7月27日~2014年8月1日
会場:アートギャラリーT+
会期:2014年7月27日(月)~2014年8月1日(金)
出展者:
日本画3年、版画3年有志
「会いたい」をテーマにした

「会いたい」をテーマにした
この展覧会では、日本特有の文化である”曖昧な言葉の表現”について考えたい。
そして「意味のない言葉」=「口から出る言葉を遮る」とし、マスクを用いて表現する。
・これから写真を始める学生や、写真を専攻して卒業制作を考えている学生のために、
ポートレイトの作例や、写真による表現方法、そして、現在のデジタルカメラの限界を
撮影し、プリントの美しさを展示します。
写真を学ぶ三年生を中心とした、初めてのグループ展です。それぞれの思う事や世界を写真という形で表現します。出展者4名それぞれのimage formationを楽しんで頂ければ幸いです。
修了研究提出作品展です。
T+review
本展示は展示者の修了研究提出作品展であり、非常に重みのある展示だった。ガラス越しの第一印象で日本画だと勘違いしてしまったことは、描かれた素材を見てすぐに分かった。展示者は油絵の具だけでなく、墨をはじめとする日本の伝統的な描画材を作品の中に取り入れていた。色彩も絹本を思わせるような薄茶で構成されている。その作品の構図もまた、古典的な日本絵画を彷彿させるようなものだと言っていいだろう。そして、瑞々しいと感じた。
雨に恵まれ河川や海の多い島国日本は、水とともに文化が発展してきた。そのためか日本絵画において主として使われる媒体は水である。しかし、本展示で使用された媒体は油であった。本来、相反する物質であるはずの「油」から「水らしい」瑞々しさを感じてしまった。それは不思議な感覚だった。意標を突かれたと言っていいだろう。ここで、ギャラリーの扉を押すまで、ガラス越しに覗き込んだギャラリーの壁に展示されているのは日本画だと思っていたことを述べておこう。そんな私の先入観がその不思議な違和感を勝手につくりだしてしまったのかもしれない。油とは、水とは。くせのない、透き通るような自画像も展示者の強いこだわりを感じさせる。
しかし、見る時間が経過するほど別の違和感を覚えてしまった。前述させていただいたように、彼女の作品は日本独自の古典的な構図や色彩を取り上げて描かれていたが、それが全て自身の中に取り入れきれていないというように思えた。
日本画で真に重要なのは、空間である。あるようでない、有の無。それが日本画に最も求められる精神だ。その先にたどり着いた彼女の作品を見てみたいと思う。兎にも角にも良い刺激を与えてもらった。