「宝島展」辻村梨紗、他 2016年9月26日~9月30日

「宝島展」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2016年9月26日(月)~9月30日(金)
出展者:辻村梨紗(洋画4年)
市川由佳(構成4年)
大井直人(デザイン4年)
勝部里菜(デザイン4年)

肉が食べたい4人組の、
ノリだけではじまった異色のグループ展


T+review

・小さい頃、丸まって身を固めているダンゴムシをわざと石で押し潰したことがあるんですが、その時の感覚を思い出します。カメは頭や手足を固い甲羅の中に引っ込めて自分の身を守るわけですが、カメの種類にもよりますけど、その気になれば甲羅を割ってカメを殺すぐらいの力は我々にはあるわけです。
・合わせ鏡にまつわる話というと、何番目に映る顔は自分の死に顔だとか、呪文を唱えると悪魔を召喚できるだとか、不吉なものが多いように思われます。鏡の中の空間が無限に奥へ伸びるに従い、だんだんと闇に飲まれていくのがやっぱり不気味なんでしょう。
・「某氏」だとか「何某」とかいう表現は、分かっているけどあえて明らかにしないだとか、本当の名前があるけど分からないから仮にこう呼ぶだとか、そんな感覚があるように思います。だからちょっとごまかされてるような、じれったいような、そんな感じがします。
・普通の町中の宝くじで一等賞が雑巾だったりしたら多分成り立たないんです。「ふざけているのか」と思われてしまうと思います。けどまじめに商売をやるわけではなく、相互理解の上で本当にふざけてやっているのであればだれも文句は言わないでしょう。けれどまじめとふざけの境界線は結構あいまいであるように思います。まじめにふざけるだとか、ふざけてまじめをやるだとか……。
(市川太也)

宝島展_③14


「|○ 」駒田六花 2016年9月12日~9月16日

「|○ 」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2016年9月12日(月)~9月16日(金)
出展者:駒田六花(デザイン専攻建築領域3年)


T+review

 あたり前なことですが、何に価値を見出すかというのは人によって変わってしまうものです。例えば英語で書かれた本を英語の読めない人に渡しても、その人にとってその本の価値は分かりません。本の中の文章を理解するための文法を知らないからです。このようなことは芸術作品においてもあるでしょう。作品の持つ色彩や形態、または歴史的な文脈性や作品に付随する物語性を「いい」と思えるような思考回路を頭の中に持ち合わせてないと、どうしても作品を理解するのが難しくなってしまいます。より多くの人に「いい」と感じてもらうためには、より普遍的な美術への価値観を刺激するような表現を探してゆかなければならないのかもしれません。
 …というようなことを考えさせられる展示でした。
(市川太也)

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「タイトル未定」町長しおり 2016年9月5日(月)~9月9日(金)

作者の都合により今週の展示は休止させていただきます。

「”Daily waves”」中三川澪 2016年8月29日~9月2日

「”Daily waves”」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2016年8月29日(月)~9月2日(金)
出展者:中三川澪(芸術専攻洋画領域 博士前期課程2年)

絵画作品の展示


T+review

 仄かな光を感じさせる絵画が作り出す空間は、明け方、太陽が登りきる前の静謐な時間を感じる。紺とも言い難い抑えられた青は夜明けの空色のようだ。その青で描かれたカーテンは、まばたきをすると早朝目覚めてしまい外を確認しようとカーテンの隙間に目をやる瞬間を思い起こさせる。独特の筆を引っ張ったような筆跡は、写真と絵画の間を行き来している。写真から描いたであろうバルーンとわざとボヤかせたような画面。どちらからも作者のリアリティを感じる。古典絵画は薄い絵具を塗り重ね層を作ることで重厚感を出すが、この作者の作品は一層の中で混ざりあった絵具を感じる。それは現代の軽薄さ・混沌さを端的に表すようにも、儚さを描き出しているようにも見える。
 「日々の波」と展示名は直訳できる。日々の中にあるのは作者の確かな時間である。それは写真のように瞬間的なものも、捉えられないような速さのものもあるだろう。揺蕩うような時間の中で過ぎ去っていくものたちを静かに見つめた作品群が、そこにはあった。(古屋花子)

horizon(小)


「Trip & Gift」窪田千莉 2016年8月22日~8月26日

「Trip & Gift」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2016年8月22日(月)~8月26日(金)
出展者:窪田千莉(構成専攻ビジュアルデザイン領域 3年)

私の好きなこと:旅をすること、食べること、プレゼントをもらった人の笑顔を見ること。
私の苦手なこと:新宿で待ち合わせをすること。
この夏旅行したあなたもまだのあなたもしないあなたも、きっと旅をした気持ちになれる展示です。

T+review

旅先で土産物を見て回る瞬間とは、その旅で自分が見たもの、体験したもの、得たものを振り返る瞬間であると同時に、故郷にいる家族や友人、すなわちその土産を渡す相手に想いを馳せる瞬間でもある。この『Trip & Gift』は、作者の旅への純粋な想いが歪みなく伝わってくる展示であった。また、鑑賞者にそれぞれの故郷への想いを思い出させるものだった。
 展示作品は、日本の都道府県各地の特産品をモチーフに作者自身がオリジナルで各地方の土産物をデザインしたものだ。東日本の瓶詰めジャム、暖かい地方の紅茶、スウィーツ…。目にしただけで甘味が口内に広がるような鮮やかな色合いの瓶やパッケージはいかにも各都道府県から集めた特産土産のようで、思わず自分の出身県のものがないか探してしまう。そしてその時、鑑賞者は自らの地元に想いを馳せる。自分の故郷の特産品は何か、懐かしい場所はどこか、どんな人達と共に住み暮らしていたか。本展示は、作者の旅への想いや土産の楽しみを表したものだが、鑑賞者の立場から見たときにそれは鑑賞者一人一人の故郷に対する想いへと移り変わって伝わったのではないか。このような、作者の純粋な感情が具体的な形となって表されたとき、鑑賞者に少し異なる、またはさらに深い意味を持たせる結果となる展示は非常に面白みがあるように思う。
 土産とは、作品タイトルに「Gift」とあるように、贈り物である。もちろん自分の思い出として自分用に買うものも土産だが、家族や友人を思って買うそれは確かに「贈り物」だ。人のためだからこそ、どんなものを贈ったら喜ばれるか、何がふさわしいか考える。作者自身も土産を選ぶのが好きだと書いているから、この作品を作るにあたって自分ならどんな土産を贈りたいか、また贈られたら嬉しいかを考えながら制作したことだろう。人に物をプレゼントすることに対しては何かと並ならぬ拘りを持ってしまう筆者であるが、この作品のような特産土産が土産物屋に並んでいたら、きっと手にとってしまいそうだ。(山崎祥香)

展示ウェブ