「ポップコーン」江崎可音、他 2016年10月3日~10月7日

「ポップコーン」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2016年10月3日(月)~10月7日(金)
出展者:江崎可音(総合造形領域3年)
梅澤知史(知識情報図書館学類4年)

何気ない日常をポップコーンが
埋め尽くすパフォーマンス。
毎日少しずつ様子が変わっていきます。


T+review

 ギャラリーはしょっぱい匂いに包まれていた。床一面に乱立したポップコーン。ところどころ容器が倒れて中がこぼれ落ちている。奥には山のようにポップコーンが盛られている。また、中央に設置されているテレビには映画『CASABLANCA』(1942年アメリカ制作のプロパガンダ映画)が上映されており、観覧者はコントローラーで自由に見ることができた。
 その空間に入ったとき、私たちはポップコーンに埋め尽くされる。はじめにポップコーンの匂いが嗅覚を刺激する。そして、ギャラリーに入った瞬間、ポップコーンの圧倒的な存在感を見て感じ取る。映画の音声は映画館にいるような感覚を呼び覚まし、一度は体験したことがあるだろう劇場で食べたポップコーンの味を思い出させる。もしかすると、直接食べた方もいるだろうか。また、奥のポップコーンの山からはポップコーンをわしづかみに取りたくなるような手触りも思い出す。作品を構成するすべてが人間の五感を刺激し、私たちはその空間から飛び出す感覚に支配されるのだ。
 作品からは堕落、大量消費、何かに没頭しているゆえの無意識を感じる。スナック菓子であることがそれを象徴的にあらわしているように思う。空間の異様さに驚きはするが、映画によってイメージが映画館に意識されるため、もしポップコーンの圧倒的な存在を強調したいのであれば映画はそれを弱めてしまったかもしれない。それでも、五感で感じるインスタレーション作品であったことはおもしろかった。(濱田洋亮)

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「宝島展」辻村梨紗、他 2016年9月26日~9月30日

「宝島展」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2016年9月26日(月)~9月30日(金)
出展者:辻村梨紗(洋画4年)
市川由佳(構成4年)
大井直人(デザイン4年)
勝部里菜(デザイン4年)

肉が食べたい4人組の、
ノリだけではじまった異色のグループ展


T+review

・小さい頃、丸まって身を固めているダンゴムシをわざと石で押し潰したことがあるんですが、その時の感覚を思い出します。カメは頭や手足を固い甲羅の中に引っ込めて自分の身を守るわけですが、カメの種類にもよりますけど、その気になれば甲羅を割ってカメを殺すぐらいの力は我々にはあるわけです。
・合わせ鏡にまつわる話というと、何番目に映る顔は自分の死に顔だとか、呪文を唱えると悪魔を召喚できるだとか、不吉なものが多いように思われます。鏡の中の空間が無限に奥へ伸びるに従い、だんだんと闇に飲まれていくのがやっぱり不気味なんでしょう。
・「某氏」だとか「何某」とかいう表現は、分かっているけどあえて明らかにしないだとか、本当の名前があるけど分からないから仮にこう呼ぶだとか、そんな感覚があるように思います。だからちょっとごまかされてるような、じれったいような、そんな感じがします。
・普通の町中の宝くじで一等賞が雑巾だったりしたら多分成り立たないんです。「ふざけているのか」と思われてしまうと思います。けどまじめに商売をやるわけではなく、相互理解の上で本当にふざけてやっているのであればだれも文句は言わないでしょう。けれどまじめとふざけの境界線は結構あいまいであるように思います。まじめにふざけるだとか、ふざけてまじめをやるだとか……。
(市川太也)

宝島展_③14


「|○ 」駒田六花 2016年9月12日~9月16日

「|○ 」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2016年9月12日(月)~9月16日(金)
出展者:駒田六花(デザイン専攻建築領域3年)


T+review

 あたり前なことですが、何に価値を見出すかというのは人によって変わってしまうものです。例えば英語で書かれた本を英語の読めない人に渡しても、その人にとってその本の価値は分かりません。本の中の文章を理解するための文法を知らないからです。このようなことは芸術作品においてもあるでしょう。作品の持つ色彩や形態、または歴史的な文脈性や作品に付随する物語性を「いい」と思えるような思考回路を頭の中に持ち合わせてないと、どうしても作品を理解するのが難しくなってしまいます。より多くの人に「いい」と感じてもらうためには、より普遍的な美術への価値観を刺激するような表現を探してゆかなければならないのかもしれません。
 …というようなことを考えさせられる展示でした。
(市川太也)

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「タイトル未定」町長しおり 2016年9月5日(月)~9月9日(金)

作者の都合により今週の展示は休止させていただきます。

「”Daily waves”」中三川澪 2016年8月29日~9月2日

「”Daily waves”」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2016年8月29日(月)~9月2日(金)
出展者:中三川澪(芸術専攻洋画領域 博士前期課程2年)

絵画作品の展示


T+review

 仄かな光を感じさせる絵画が作り出す空間は、明け方、太陽が登りきる前の静謐な時間を感じる。紺とも言い難い抑えられた青は夜明けの空色のようだ。その青で描かれたカーテンは、まばたきをすると早朝目覚めてしまい外を確認しようとカーテンの隙間に目をやる瞬間を思い起こさせる。独特の筆を引っ張ったような筆跡は、写真と絵画の間を行き来している。写真から描いたであろうバルーンとわざとボヤかせたような画面。どちらからも作者のリアリティを感じる。古典絵画は薄い絵具を塗り重ね層を作ることで重厚感を出すが、この作者の作品は一層の中で混ざりあった絵具を感じる。それは現代の軽薄さ・混沌さを端的に表すようにも、儚さを描き出しているようにも見える。
 「日々の波」と展示名は直訳できる。日々の中にあるのは作者の確かな時間である。それは写真のように瞬間的なものも、捉えられないような速さのものもあるだろう。揺蕩うような時間の中で過ぎ去っていくものたちを静かに見つめた作品群が、そこにはあった。(古屋花子)

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