「ユメイロウミウシ」澤田ナオミ 2016年11月14日~11月18日

「ユメイロウミウシ」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2016年11月14日(月)~11月18日(金)
出展者:澤田ナオミ(構成専攻VD領域 3年)

ウミウシのイラストレーションを展示します。


T+review

 ふわふわと、綿菓子のような作品がギャラリーの白い壁に浮かんでいる。小さな画面にパステルカラーで描かれたウミウシたちは、一見すると抽象画に見えるほど大きく画面からはみ出していたかと思うと、昆虫の標本のように行儀よく画面に収まっていたり、花のように小さく縮こまっていたりと、様々な姿を私たちに見せてくれていた。
 この展示を見ている間、私はまるで夢の世界にいるかのような感覚を味わった。実際のウミウシも非常にカラフルで不思議な姿をしているが、今回描かれていたウミウシたちからはそれとはまた違った印象を受けた。その理由は、おそらく実物よりもずっと淡い色彩と、空気に溶けてしまいそうな柔らかなタッチで表現されていたからだろう。冒頭で述べたとおり、まるで綿菓子のようだ。
どこかおぼろげなウミウシたちが、作品を鑑賞するわずかな時間だけ、私たちを穏やかな夢の世界へ引き込んでくれる展示だった。(戸田遥)

t%ef%bc%8b%e6%8f%90%e5%87%ba%e7%94%a8%e7%94%bb%e5%83%8f


「Super dot.」当田亜利 2016年11月7日~11月11日

「Super dot.」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2016年11月7日(月)~11月11日(金)
出展者:当田亜利(構成領域3年)

正円が好きです。

super-dot


「明後日が今日」坪坂萌 2016年10月25日~10月28日

「明後日が今日」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2016年10月25日(火)~10月28日(金)
9:00~18:30
出展者:坪坂萌(人間総合科学研究科
芸術専攻洋画領域博士前期課程)

ドローイングの展示


T+review

 壁一面が、ほとんどがモノクロの、ところどころにわずかな色を添えたドローイングで埋め尽くされている。その大きさはクロッキー帳の1ページから模造紙大まで幅広く、数枚の写真も交えて、どことなく混沌とした空間を作り出していた。
 今回の展示を鑑賞しながら、自分がまるで作者の心象風景を覗いているかのような気分になった。断片的な少女たちの姿、どこかも分からない風景、白黒の空間…。ラフな描線と無造作な作品配置も相まって、整理の付かない不安定な様子であるという印象を受けた。黒く塗りつぶされた「明後日が今日」というタイトルも、差し迫った未来に対する恐れや不安感を表しているように感じ、作品を鑑賞しながら、複雑な感情の渦にのまれそうになった。
(戸田遥)

t%ef%bc%8b%e3%80%80%e5%b1%95%e7%a4%ba


「Shortcake Girls」武石早代 2016年10月17日~10月21日

「Shortcake Girls」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2016年10月17日(月)~10月21日(金)
出展者:武石早代(構成専攻VD領域4年)

ショートケーキがあれば、女の子はいつもしあわせ。


T+review

 壁一面に、ケーキを食べる女子達の笑顔が輝く。白いふわふわしたショートケーキは幸せの象徴のようで、生クリームの上にのった苺の鮮やかな赤が映える。『Shortcake Girls』は、女の子たちがショートケーキを素手でほおばる瞬間をとらえた写真を飾った展示作品だ。写真枚数は100枚を上回る。それだけの数のケーキを作者は調達したのかと無粋な事が頭をよぎりそうになるが、そんな思考をどこかへ追いやるほどの多幸感のあるパワーをこの写真たちは持ち合わせているようにも思える。実際、写真の中の笑顔を見渡すだけで、見ているこちらも言いようのない楽しさに包まれる。ケーキにはそんな力があるのか。
 作者のキャプションに「ケーキがあれば、いつだってしあわせ」とある。ケーキはたしかに幸せの象徴とも言えるかもしれない。誕生日を始めとした祝いの席、クリスマス、記念日などに食卓にケーキが乗ることは一般家庭においてもさほど珍しくない光景だろう。しかしケーキが幸せの象徴のように思われるのは、ケーキは特別な日に食べるものであると同時に、ケーキという食べ物自体に特別な価値があるように感じるからではないだろうか。ケーキは白米のようにいつも食卓にある類のものではない。多くの人が幼少期よりケーキに対して、「お祝いの日に特別に食べるもの」としてスペシャリティーの高いイメージを持ってきたのではないか。そんな植えつけられたような意識があるから「特別な日を祝うためにケーキを食べる」というより「ケーキを食べることは特別で嬉しいこと」として無意識に認識しており、だからケーキ自体が特別な食べ物に感じるのかもしれない。
 家庭になじみが深いのに何か特別なこの洋菓子が引き出す幸せな表情の数々。それを丁寧に映し出した写真から、ケーキの持つ幸福の力を感じた気がした。(山崎祥香)

%e6%8f%90%e5%87%ba


「ポップコーン」江崎可音、他 2016年10月3日~10月7日

「ポップコーン」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2016年10月3日(月)~10月7日(金)
出展者:江崎可音(総合造形領域3年)
梅澤知史(知識情報図書館学類4年)

何気ない日常をポップコーンが
埋め尽くすパフォーマンス。
毎日少しずつ様子が変わっていきます。


T+review

 ギャラリーはしょっぱい匂いに包まれていた。床一面に乱立したポップコーン。ところどころ容器が倒れて中がこぼれ落ちている。奥には山のようにポップコーンが盛られている。また、中央に設置されているテレビには映画『CASABLANCA』(1942年アメリカ制作のプロパガンダ映画)が上映されており、観覧者はコントローラーで自由に見ることができた。
 その空間に入ったとき、私たちはポップコーンに埋め尽くされる。はじめにポップコーンの匂いが嗅覚を刺激する。そして、ギャラリーに入った瞬間、ポップコーンの圧倒的な存在感を見て感じ取る。映画の音声は映画館にいるような感覚を呼び覚まし、一度は体験したことがあるだろう劇場で食べたポップコーンの味を思い出させる。もしかすると、直接食べた方もいるだろうか。また、奥のポップコーンの山からはポップコーンをわしづかみに取りたくなるような手触りも思い出す。作品を構成するすべてが人間の五感を刺激し、私たちはその空間から飛び出す感覚に支配されるのだ。
 作品からは堕落、大量消費、何かに没頭しているゆえの無意識を感じる。スナック菓子であることがそれを象徴的にあらわしているように思う。空間の異様さに驚きはするが、映画によってイメージが映画館に意識されるため、もしポップコーンの圧倒的な存在を強調したいのであれば映画はそれを弱めてしまったかもしれない。それでも、五感で感じるインスタレーション作品であったことはおもしろかった。(濱田洋亮)

img_4258