「野犬」 本江七緒 2011年1月4日~2011年1月7日

展覧会「野犬」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2011年1月4日~2011年1月7日
出展者:
本江七緒(芸術専門学群彫塑専攻 二年)

満月の夜の遠吠え。

T+review

タイトルにやられた。小難しいことがあまり好きではない(むしろ嫌い)な私はストレートなものに惹かれる。この直球勝負なタイトルに、展示が始まる前から大きな期待を寄せていた。
 痩せ細ってはいるものの引き締まった体つきをした、真っ白い2匹の彫刻の犬。丹念に、それでいて勢いよく荒く肉付けされた犬からは、作者の情熱と、作品に対する愛情が見てとれる。空を見上げて遠吠えする犬たちは、「力強い」というより「弱々しい」。私が「野犬」でイメージしていたものが剛健で乱暴な獣だったからなのか、とても意外だった。昼間は獲物を狙って常にギリギリの状況にある野生の犬が、月夜に見せるもの悲しげな一面。その瞬間だって確かに「野犬」である。その視線の先には夜空に浮かぶ月を感じることが容易く出来る。ふと視線の先を追うと、満月が犬たちを見降ろしていた。
ギャラリー内には他にも小さな作品がいくつか展示されていて、針金で作られた虫かごの中で、図鑑から飛び出したような美しい蝶が舞う作品が目を引いた。二次元の世界に閉じ込められていた蝶たちが、虫かごのなかでひらひらと踊っている。
もう一方の壁には巨大な一匹の蝶が翅を広げた状態で掲げられていた。本物と見まがうほど精巧で緻密に作られている。作者が昆虫好きなことは前から知ってはいたが、ここまでとは!と驚嘆してしまった。
ギャラリーを出ると、外は夕暮れの一歩手前のような明るくもなく暗くもない微妙な時間。一人ベンチに座る作者を見つけた。
「あの蝶本物みたいだね。」
「ああ、あれ本物なんだ。」
 さらに驚嘆した。
(武藤かおり)


「つくばサンタ展」 松林環美、他 2010年12月20日~2010年12月24日

展覧会「つくばサンタ展」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2010年12月20日~2010年12月24日
出展者:
松林環美(人間総合科学研究科芸術専攻VD領域MC1年)
Tanaka Itaru(VD MC1年)
Li Dong lei(VD 研究生)
Lu Qiu xia(構成 MC1年)
Kojima Yoshio(総合造形 MC1年)

大学院前期芸術専攻の授業「画像表現演習」の一環で作品展をします。
「サンタクロース」をモチーフに、アートしてしまおうという企画です。
クリスマス前のT+にヘンテコなサンタたちが集合します。よろしく。

つくばサンタ展


「Tracing」 原口寛子 2010年12月13日~2010年12月17日

展覧会「Tracing」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2010年12月13日~2010年12月17日
出展者:
原口寛子(構成専攻総合造形領域3年)

アニメーションの展示です。たまにギャラリーの中で制作したりもします。


「on Prints」 清水総ニ 2010年12月6日~2010年12月10日

展覧会「on Prints」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2010年12月6日~2010年12月10日
出展者:
清水総ニ(芸術専門学群洋画専攻3年)

平面展示


「わたしのあたまんなか展」 那須田和美 2010年12月1日~2010年12月3日

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展覧会「わたしのあたまんなか展」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2010年12月1日~2010年12月3日
出展者:
那須田和美(構成専攻2年)

わたしのあたまのなかにはたくさんのひとがいます。
そのこたちがかってにおしゃべりしています。

T+review

他者の頭の中にある物事はいつだって波のように静かに私の肉体・精神を襲っては離れていく。波に乗ってしまえれば好調。波乗りを存分に楽しんだ挙げ句、報酬すら与えてくれる波に感謝することができる。でも、絶妙にも波に呑まれてしまう時は、ひたすらに流されて何処か見当も付かない場所に漂着するまで、失敗なりに乗り切るしかない。
世界の中のたった一つ、しかし確実に存在する点から染み出して、逆に世界を覆ってしまうような人の精神性や想像力には驚嘆せざるを得ない。
私は今日、その小さな点から溢れ出る小さな小さな精神の使いたちを見た。
何かをきっかけに、いつもは閉められている塀の鍵が空いてしまったのか、精神の使いたちがそろりそろりと歩みを進めて、裏舞台という狭い世界からあまりに広過ぎる表の世界に堂々と姿を現していた。
極めて簡素で、独特な味をだすという意味で丁寧な線で描かれた小人たちは、なんだか気怠そう。彼ら、いや、彼女ら(?)は、思い思いの付属物を片手にポツリポツリ。何かを呟いている。こちらに構わず勝手に為される所作に、思わず目が垂れ、口元が緩んでしまう。彼女らの呟きに、ああ、あるある!え、それは無いでしょ!と共感や反発をしてしまっている自分に気がついてハッとさせられる。自分の精神でも飼い慣らしている種の使いとそうでない使いが対面するのを感じたのだった。それは異文化の人々や趣向と出会うときに得るのと同じ衝撃。
知っているつもりでも真の意味では永遠に知ることのない他者の頭の中を公開されることは、遠回りして自分の頭の中を覗くことにもなってしまう。那須田と私の頭の間には環状の透明なトンネルが出来、那須田の精神の使いたちが私の頭へとなだれ込んで来るのだ。心えぐられるようなズバ抜けた人間的なやらしさが、心地よく緩い描線のリズムに乗せられ、可愛くて愛すべきマスコットに姿を変えているのが皮肉っぽくて心地良い。表象の陰に潜む真意を見つけたときの心は、拒否はしないにしても、ズキン、チクッ、グスン、ドキン、ドキドキ…とんでもなく抑揚の効いた反応をするものである。
波乗りは、様々な経験が出来るという意味で失敗することは無いのかもしれない。
今日の波は、私に程良い刺激を与えてくれた。今度はいつ同じ波、しかも良い意味でより刺激的になった波と出会えるのだろうかと期待は膨らむばかりだ。(辻真理子)