「まちくたびれたいんで」田中あかり 2014年2月12日~2014年2月14日

展覧会「まちくたびれたいんで」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2014年2月12日(水)~2014年2月14日(金)
出展者:田中あかり(筑波大学芸術専門学群美術専攻洋画コース3年)

「ほしいのはきっかけ と タイミング。
だから この日をうんとまちくたびれたいんで」

T+review

2月14日。日本ではいわゆるバレンタインデーと呼ばれる日である。偶然だったのか、必然だったのか。本展示の最終日は聖なる日、バレンタインデーだった。
この日は特別な日だ。淡い期待に不安や戸惑い。人間らしい色とりどりの感情がこの日を目指して交錯する。少女だった頃、そんなことに胸を躍らせて落胆もしたそんな日があったらことをギャラリーを巡る中で思い出し少しだけ感傷的な気分になる。
左手の壁には、少年少女特有の危うさと初々しさを持ったイラストレーションが並ぶ。このようなイラストレーションは大概が可愛らしいという月並みな言葉で片付けられることが多いだろう。しかし、展示者のイラストレーションは決してそれだけで終わってしまう作品ではない。逆にその可愛らしさが展示に入り込む入り口になっているのではないのではないだろうか。入り口に立つからこそ見える世界がある。
企業の戦略から始まったと言われるバレンタインデーというイベントだが、それでもここまでこれだけの人間がこの日の訪れを待つことには理由がある。それはきっとこの日が普通の1日とは違う、何でもなくない1日となるからだ。
その日をまちくたびれて少年少女は走り出す。淡さの中にほんの少しの苦さがあるからこそ、この日はただ甘いだけの1日ではなくそれぞれの思い出が生まれる。そこにまた新たな思いと記憶が生まれるからこそ、わたしたちはこの日をまたまちくたびれるのかもしれない。(太田夏希)

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