「お久しぶりです。 このタイトルを…」 田郷美沙子、太田優子、高橋凪沙 2013年8月5日~2013年8月9日
「お久しぶりです。
このタイトルを短い人生で何回書いたことか。
明後日から8月ですね。
ちょっと最近自分駄目駄目すぎなので、ここらへんで喝を入れないと、ということで、今日は新しい手帳に8月からの目標をずらあっと書き連ねてみました。
目安は100個、目標は200個。
今はまだ60個くらいです。
でも目標を書いているうちに、背筋がシャンとして、次の新学期に向けて自分の姿を思い描けるようにはなりました。
少しでも早く戻らないと、一生戻れない気がしているんです。
自分の嫌な可能性が怖い。
では、また。」
が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2013年8月5日(月)~2013年8月9日(金)
出展者:田郷美沙子(構成専攻総合造形領域3年)
太田優子(構成専攻構成領域3年)
高橋凪沙(構成専攻ビジュアルデザイン領域3年)
メンバーの一人の日記の一部を、共通タイトルとして制作したものを展示します。
同じタイトルを持つ作品は、各々の制作の方向性で異なる様相を示します。
T+review
ギャラリーの壁にずらり、と書かれたタイトルはひときわ目を引いていた。
それは率直な感情の吐露のようであった。それらがあまりに身に覚えがある感情であっただけに、顔も知らない作者たちに自然と親しみを抱いた。「メンバーの一人の日記の一部を、共通タイトルとして制作したものを展示します。同じタイトルを持つ作品は、各々の制作の方向性で異なる様相を示します。」
と挨拶文で述べられているように、全ての作品のキャプションにはタイトルが書かれておらず、作者名のみが記されている。それぞれの立ち位置からタイトルを軸にひとつの方向性へと収束する作品群には、精神性の高いものが多く見られた。複雑に組み合わさる記憶のパズルのようなもの、曼荼羅のような世界観を内包する宇宙卵、思考の水底に沈んでいくような少年。これらの作品は、作者達による自己の内面の探索行動の軌跡に見える。そのためか、閲覧者に積極的に何かを訴えかけてくるような感じや、考察を求めてくるようなある種の圧力のようなものがなく、作品たちは受け手に左右されることのない完結した姿で静かにそこにたたずんでいるように見えた。そこではじめて、作品を作った時点で既に作者らの“目標”の一つは達成されているのではないかと思った。
何にせよ彼女たちは持て余した感情や思い悩みを胸中で整え、自分自身を叱咤激励して、少しずつでも歩き出そうとしている。その姿勢を見て、なんだか背中を押される思いがした。(山崎玲香)
