「スイッチつきのタップ」 和田晴奈 2012年5月14日~2012年5月18日

展覧会「スイッチつきのタップ」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2012年5月14日~2012年5月18日
出展者:和田晴奈(総合造形4年)

5月のまんなかにやる展示です。

T+review

ギャラリーに入って、芳名帖に名前を書き込もうとすると、
目の前には「世の中には、よくできている物とそうでない物があると思います」との、展示者のメッセージ。
ギャラリー中央に置かれた机には「スイッチのオンオフを切り替えてご鑑賞ください」の文字と、スイッチ式のコンセント。
その横には、「大さわぎ」と「小さわぎ」とかかれたキャプションがある。
机の前に立つと、天井から無数に下がっている黄色いスズランテープがカーテンのように私の視界を遮る。
そのカーテンの下には、こちらに顔を向けている一台の扇風機があった。
さらにその奥には、横を向いたギターとその目の前に置かれた扇風機がもう一台。
ちょうどギターの前に、天井から垂れさがって来ている黄色と黒の縞縞の縄がある。

試しに、2つあるうちのスイッチの一つをオンにしてみると、ギターの前に置かれた扇風機が作動し、
縄が風にあおられて揺れた。
すると突然、ギャラリー内にボーンという音が低く響く。揺れた縄がギターの弦に触れ、音を奏でたのだ。
縄の揺れは不規則で、いつギターの音が響くかは分からない。しかし突然鳴るからこそ、ギターの音の支配力は増す。
ギャラリー全体が一瞬音に包まれ、私の意識も持っていかれる。

一旦スイッチをオフにして、今度はもう一方のスイッチをオンにしてみた。
すると今度は目の前に合った扇風機がこちらに向かって風を送り、
目の前に合った黄色のスズランテープがばさばさと私めがけて手を伸ばしてくる。

ギターが音なら、こちらは動き。

「騒がしい」という感覚の、2つの要素をそれぞれが担っているような気がした。
二つのスイッチを同時にオンにしてみると、スズランテープがばさばさする視覚的うるささと、
ボーンと耳に響くうるささが同時に私を襲ってきて、ギャラリー内は大騒ぎになった。
一つ一つの現象ならば目をつぶること、耳をふさぐことで回避できるが、二つ同時に起きると、その騒ぎから私は逃れることが出来ない。
スイッチを入れるというとても簡単な動作。
ONにするだけでモノが動き、中途半端な動きは一緒になって、大騒ぎをし出したのだった。(池田寛子)