「晴れ舞台」 市川絢菜 2012年1月23日~2012年1月27日
展覧会「晴れ舞台」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2012年1月23日~2012年1月27日
出展者:市川絢菜(芸術専門学群洋画1年)
油絵の展示です。
6ステージを予定しています。
T+review
まず、そのタイトルセンスの良さに私は魅かれた。作品自体の魅力はもちろんだが、タイトル次第で作品の印象自体が大きく変わることもある。例えば、不思議ないでたちの女性が暗幕から何か呼びかけるようなポーズで顔を出している作品に「ステージ:やっほー」というタイトル。「やっほー」なんて字面だけでも愉快な気分にならないだろうか。他にも、日章旗のような太陽を抱えて座る女性を描いた「お天道様」。鱗状の衣装が特徴的な「魚」など、単純でありながらも作品のもつ楽しい雰囲気をより引き立たせるような言葉のチョイスは見事である。一枚の絵を一つのステージに見立てた展示室は薄暗く、ともすればお堅い雰囲気になりかねないが、作者のポジティヴなセンスが全体的に上手く作用することで場の空気まで変えていたように思う。また、作品自体も工夫が凝らされていて面白い。例えば、テカテカにコーティングされた画面や色面構成のような塗り方。いわゆる油絵のイメージを裏切るような表現技法を使いながらも、油絵にしか出せない物質感を持たせることで画面全体が不思議な印象を生み出している。また、各作品をステージに見立てることで展示全体が一つの演劇を作り出しているようにも見えた。
どんな物語があるのか。どんな世界があるのか。楽しくて、どこか不思議な「晴れ舞台」であった。(玉谷研太)