理髪店「サロン ド オサレ」 石田かずみ、松添由夏 2012年5月7日~5月11日
会場:アートギャラリーT+
会期:2012年5月7日~2012年5月11日
出展者:YUKA×kajumin
石田かずみ(総合造形4年)
松添由夏(ヴィジュアルデザイン4年)
エンゼル山田のステキなヘアサロン。アニメーション&インスタレーションです。
http://www.kajumin.com/yukajumin
T+review
YUKA×kajuminの二人による、理髪店をイメージしたアニメーション&インスタレーション。この二人は以前も「ヒトリアソビ展」でもアニメを使ったインスタレーションを行っていたが、今回はその手法がより一層強化されていて見応えがあった。
まず、人目を引くのは暗幕に覆われたギャラリーの外観だ。天井からは理髪店を想起させる赤青白の垂れ幕がつけられ、中央にはおしゃれにレタリングされた「サロンドオサレ」の文字が躍る。外から中の様子をうかがい知ることはできず、自然と期待感が高まる。
扉を開けて中に入ると、そこは確かに「理髪店」であった。左の壁には3台の椅子が並び、見上げると可愛らしい「先客」が髪を切っている。実際のところ、それは壁に投影されたアニメーションなのだが、床に散らばった髪の毛があたかも本当に客がいるかのような錯覚を起こさせる。どうやらこの店では理髪師は姿を現さないようで、壁の中から出てきた手だけが次々とお客の髪を個性的に切っていく。髪は変幻自在に形を変え、伸びたり丸まったり、宙に浮いたりする。それは単なる散髪というより髪とハサミを使ったショーのようだ。
さて、不思議なヘアカットに見とれつつ、ふと隣の壁を見ると何やらたくさんの肖像画が飾ってある。どうやらヘアカタログらしい。その小さな可愛らしい姿と独創的なヘアスタイルに見とれていると、不意に一人が瞬きをして驚かされた。よく見ると小さな額の中の肖像一つ一つが生きているかのように瞬きをしている。これもまた、壁に投影されたアニメーションなのである。一つ一つが本物の額縁の中に投影されているので、まるで本当に絵が飾ってあるかのように見えるのだ。
この他にも、流れる音楽やさまざまな小道具などの要素が絡み合い、不思議で魅力的な「理髪店」を演出していた。エンゼル山田のステキなヘアサロン、またどこかで営業することがあれば是非足を運んでみたい。(玉谷研太)