「彫塑M2女子4人展」 馬場絢女、他 2010年9月21日~2010年9月24日

t+
展覧会「彫塑M2女子4人展」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2010年9月21日~2010年9月24日
出展者:
馬場絢女(彫塑M2)
樽井美波(彫塑M2)
灰塚みゆき(彫塑M2)
牧野未央(彫塑M2)

彫塑のM2の女子の4人の展示会です。
個性豊かな彫刻作品をお楽しみください。

T+review

当たり前のことだけれど、彫刻や塑像は決して動かないし、決してしゃべらない(わたしたちの見ている前では!)。しかし、彫刻や塑像を見ていると、わたしに向かって、大声で、あるいはささやくように、何かを訴えているのをひしひしと感じる。彫刻や塑像は、静かに、わたしたち鑑賞者に語りかけている。
 ギャラリーの近くに行くと、看板に取り付けられた4人の顔が出迎えてくれて、思わず笑顔になってしまった。中に入るように誘われている気がして早速入ると、小さなギャラリーの中に、たくさんの彫刻が並んでいる。彫刻や塑像が並ぶ場所には、一種の気配、「存在している」という気配がある。それは彫刻、塑像の大きさ、量が生み出す存在感であろう。ギャラリーの中には、作品の存在感が満ち満ちている。今回は4人のグループ展ということで、4人4様の作品を見ることが出来る。作者ごとにまとまって展示されていたのではないけれど、作品の雰囲気や対象の捉え方、表面に残された指の跡など、それぞれ個性があっておもしろい。中でもわたしがハッと思ったのは、灰塚みゆきさんの《はと》と牧野未央さんの《夜空の模型》。《はと》は、実際に触れたらきっと固くて重いのに、なんだかふんわりとして思わず抱き上げたくなるような柔らかさを感じて不思議。《夜空の模型》は、膝を抱えて丸まった背中が妙に切なく、愛おしく、その隣にそっと座ってやりたいような、あるいはうしろからぎゅっと抱きしめてやりたいような気持ちになる。この作品は、わたしに、そうしてほしいと全身で訴えかけている、絶対。
 彫刻、塑像の作品がもつボリューム、マチエール、人体であったらポーズ、表情、仕草。その全てが鑑賞者に傾けられている。この雄弁で寡黙な立体物は、いつも鑑賞者に何かを伝えようとしている。わたしは今回の展覧会でたくさんの彫刻、塑像を見て、それらひとつひとつが、伝えたいいろいろなものを秘めながら、わたしたち鑑賞者を静かにじっと待っている、そんな気がした。(金沢みなみ)