「PIT IN !」 久保倫太郎 2009年11月30日~2009年12月4日

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展覧会「PIT IN !」が開催されます。
会場:アートギャラリーT+
会期:2009年11月30日~2009年12月4日
出展者:久保倫太郎(総合造形4年)

今回はモーターサイクルデザインのデザインスケッチとレンダリングスケッチを展示します。

ほんの一部ではありますが、日々の制作の成果をご覧いただければ幸いです。

T+review

展覧会タイトルである「PIT IN !」という文字を初めて見たのが展覧会開始の約10日前、展覧会用のポスターの上だ。その言葉の力強い響きに少々圧倒されながらも、どのような展示が為されるのだろうか、という期待が沸々と湧き上がったのであった。
 久保倫太郎による展覧会「PIT IN !」は、バイクのデザイン画を中心としたものである。色とりどりのバイクのデザインスケッチが壁に貼られた大きな黒い紙の上に並び、チョークでスケッチとスケッチを結ぶ線や導線のような矢印、「Copy」「Original」という文字が書かれており、その間を縫うようにバイクやスケッチに関するキャプションがある。どうやら、実際に存在するバイクの模写との彼のオリジナルのスケッチがあるようだ。
そしてその明確な導線は、バイクの知識が皆無な私にとっては非常に参考になる。スケッチにはそれぞれ段階があるようで、初めは鉛筆のみで描かれていたものが次の段階では着色され、形態やディテールもそれに伴い進化する。また、スケッチはバイク全体を描いたもののみならず、車輪や、パーツを様々な角度から描いたものなどがあった。
 PIT INとは自動車レースなどで給油のために車がピットに入り、より良い状態でレースに復帰するための準備を示すのだという。設計図であるデザインスケッチを段階ごとに展示し、そのデザインが洗練されていく様を丁寧に来場者に見せた彼の展示からは、「久保倫太郎」という男の大学生活における制作への姿勢やその蓄積が垣間見られる。ピットに擬えた展示をしたとキャプションの上で彼は語っていたが、私には「PIT IN !」という展覧会が彼自身のピットであるように思えてならない。作品やバイクというモチーフに対する愛情を胸に、彼のピットが今後どのように展開されていくのか、そして「調整」という段階から今後彼がどのようにレースへ参加するのか非常に興味深い。(原口寛子)