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瑛九「街角にて」

作者生没:1911 宮崎 – 1960 東京
制作年:1950年
技法材質:フォトグラム[フォト・デッサン]
寸法:42.0 x 53.0 cm
署名:左下に署名・年記「Q.Ei/1950」

展覧会歴:「紙上の技法学 筑波大学所蔵 石井コレクション」2012年1月7日-2月19日 武蔵野市立吉祥寺美術館 cat. 14;「まなびあテラス開館記念 筑波大学所蔵 石井コレクション展 美と出会う:[前期]絵の世界と出会う」、まなびあテラス[東根市美術館]、2016年11月3日〜12月11日、cat. 9。

文献:寺門臨太郎編『筑波大学所蔵石井コレクション Ⅰ. 絵画』、筑波大学芸術学系、2011年、cat. 37;大谷省吾「天と地をつなぐ光−石井コレクションの瑛九作品について」、五十殿利治監修、寺門臨太郎編『筑波大学アート・コレクション 石井コレクション 美をめぐる饗宴(シュンポシオン)』、筑波大学出版会、2021年、217−240頁、図5。

所蔵番号:2010-JP-IS003

作品解説:
瑛九は1930年からフォトグラムの独自な試作をはじめ、これを「フォト・デッサン」と名づけた。光を遮断した空間で、まず印画紙に型紙などを載せ、上から懐中電灯で光を当てて「描画」する。印画紙を現像すると、光の当たった部分は黒く影の部分は白く現れ、光の当て方と物の置き方を工夫することで表現には無限の可能性が生じる。これについて瑛九自身は「欲している画像を形成しようと精神を集中する絵画的な造形精神」と説明した。
《街角にて》(2010-JP-IS003)には、型紙と網、そして画面の右下には小枝の使用が確認できる。感光時間を調整して生まれた黒白の濃淡が、かつて見たことのある朧な情景に似た懐かしさを添えている。