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猪熊弦一郎「楽しき散歩道」

©公益財団法人ミモカ美術振興財団

作者生没:1902 高松(香川) – 1993東京
制作年:1964年
技法材質:水彩、紙
寸法:66.8×51.6/53.0cm
署名・年記等:左下に署名・年記「guèn INokuMa 64」;  裏面右上に年記と書き込み「A house tohouse visit/1964」; 裏蓋に署名・年記と書き込み; 「楽しき散歩道 猪熊弦一郎1964[縦書]」

展覧会歴:「茨城県近代美術館コレクション展+筑波大学所蔵 石井コレクション展」茨城県つくば美術館 2007年10月5日-28日 cat. 8; 「紙上の技法学 筑波大学所蔵 石井コレクション」2012年1月7日-2月19日 武蔵野市立吉祥寺美術館 cat. 2。

文献:寺門臨太郎編『筑波大学所蔵石井コレクション Ⅰ. 絵画』、筑波大学芸術学系、2011年、cat. 17。

所蔵番号:2005-JD-IS003

作品解説:
猪熊は、ニューヨークで独自の抽象画の世界を確立した。後年、自著『私の履歴書』(1984年)において「具象の影はこの街でゴソッと落ちてしまった。楽に、気持ち良く仕事ができるようになった」と回想した時代である。1960年代、彼は建ち並ぶビル群や縦横無尽に走るストリートを、畳の目のような細かい線による筆づかいで描いた作品を数多く制作した。本作品はその傾向を示しつつも、ビルの遠景や橋、公園、樹木などを思わせる情景が、グレーを基調にして上空から見下ろすように描き出され、具象的な要素を残している。そこには渡米してから約十年を過ごした巨大都市ニューヨークが、散歩道として軽快に表現されている。